2009年11月04日

『成功は一日で捨て去れ』(柳井正著/新潮社)

『成功は一日で捨て去れ』(柳井正著/新潮社)

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会長に退いた後、社長に復帰したその後の躍進と苦難の記録です。

驚いたことに、大変感銘を受けたにもかかわらず赤線を引いた箇所は何と「0」(ゼロ)。
とどのつまり、経営というものは赤線を引くような都合の良いピンポイントな解はなくて、当たり前のことを複合的に徹底することこそ大事であるということが本書の最も大きな教訓です。

これはイチローの日々の活動と全く一緒。
これこそ超一流と私たちパンピーを分ける大きな分水嶺。
で、素直に、柳井氏のいうことを実戦するのはパンピーには無理だよなと思いました(苦笑)。

社長に復帰後の毎年の「新年の豊富」「FAST RETAILING WAY」(FRグループ企業理念)がまま掲載されていて、これらを読めるだけでも本書を買って手元に置いておく価値は大だと思います。


ちなみに、私は最近UNIQLOの大フリーク化しておりまして、通販で買いまくってます。
今も、+Jのカットソーにムートンフリースをはおり、ヒートテックの靴下をはいて仕事をしています(^-^)。
もっと寒くなったら、ヒートテックのタイツやフリースの膝掛けなどの購入済みアイテムも登場する予定。

+Jのアイテムは、ジャケット、シャツ、カットソーのトップスからベルトまで合わせて7点を購入しましたが、デザイン、縫製ともに申し分無く、信じられないレベルのコスパ。
ヒートテックとフリースはホントに軽くてあたたかい。

妻や娘のものも含めて、今シーズンだけで数十点購入しましたが、同じく今シーズンに購入した本家JIL SANDERのカーディガン1着分にも達してません(^-^;)。

メゾンブランドがどんどん消えてしまうのは寂しい限りですが、それは企業努力が足りないということで仕方ないかな?
(流石にJIL SANDERは無くならないと思いますけど)

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2009年06月22日

『影響力の武器 実践編』

私にとって歴代1,2位を争う名著である『影響力の武器』の続編が出ました!!!

『影響力の武器 実践編』(NR.B.チャルディーニ他著/誠信書房)

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実はamazonで先ほど注文して到着を心待ちにしているという状況で、まだ読んでないのですが(^-^;)、あまりに嬉しくて記事をアップしてしまいました!

これは楽しみだ~♪

Posted by simfarm at 07:03 | Comments (0)

2009年06月20日

『全脳思考』(神田昌典著/ダイヤモンド社)

ご無沙汰です。

ここのところブログをさぼっておりましたが、仕事の引き合いは順調ですし、本も1日1冊ペースで読んでいて、大変充実した日々を送っております(^-^)

さて、最近読んだ本の中のイチ押しは、神田昌典氏の新作『全脳思考』(神田昌典著/ダイヤモンド社)です。

『全脳思考』(神田昌典著/ダイヤモンド社)
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amazonの書評は何だか評価が低いものが多いのですが、私も含めてバリバリの前線にいるマーケターやプランナーにとっては、とても共感できる内容に仕上がっていると思います。

「成長事業の五つの法則」(91p )、「SSC(ストーリー・ストリーミング・コンセプト)」(141p)の一連フレームを理解して活用するだけでも十分元は取れるのではないかしら?
このフレームの説明箇所を読みながら、私はクライアントのブランド戦略のアイデアが次から次へと溢れ出てきました。

神田昌典氏を嫌う人も多いのですが(多くは妬みだと思います)、私はこの人は「本物」だと思いますよ。

Posted by simfarm at 22:22 | Comments (0)

2009年05月17日

『動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』(福岡伸一著)

私にとって今年のピカイチ本のご紹介です。

『生物と無生物のあいだ』『ロハスの思考』で一世を風靡した福岡伸一氏の最新作です(といっても発売されて少し時間が経っていますが)。

『動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』(福岡伸一著/木楽舎)

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正直、この分子生物学の本を読んで、思わず泣いてしまいました(TT)。

私に“命の愛おしさ”“命のありがたさ”について、これほど淡々と真摯に語りかけてくれたものを他に知りません。
自分がこの世に“ある”ありがたさ、そして妻が“ある”ありがたさ、娘が“ある”ありがたさ、猫たちが“ある”ありがたさ、私とつながりのある人たちが“ある”ありがたさ、社会が“ある”ありがたさ、世界が“ある”ありがたさ・・・。
“ありがたい(在・有り難い)”とはホントによく言ったものです。

このブログをご覧になってくださる、これから未来を作っていく気概に満ちた皆様の基本教養として、ぜひご一読を願いたい一冊です。


以下にこの本のダイジェスト的な部分を引用しておきます。


サスティナブル(持続可能性)とは、常に動的な状態のことである。一見、堅牢強固にみえる巨石文化は長い風雨に晒されてやがて廃墟と化すが、リノベーション(改築改修)を繰り返しうる柔軟な建築物は永続的な都市を造る。


科学はこれまで人間に可能なさまざまなことをもたらしたが、同時に人間にとって不可能なことも教えてくれた。それは時間を戻すこと、つまり自然界の事物の流れを逆転することは決してできない、という事実である。これが「エントロピー増大の法則」である。
すべては、摩耗し、酸化し、ミスが蓄積し、やがて障害が起こる。つまりエントロピーは常に増大するのである。
生命はそのことをあらかじめ織り込み、一つの準備をした。エントロピー増大の法則に先回りして、自らを壊し、そして再構築するという自転車操業的なあり方、つまり「動的平衡」である。
しかし、長い間、「エントロピー増大の法則」と追いかけっこをしているうちに少しずつ分子レベルで損傷が蓄積し、やがてエントロピー増大に追い抜かれてしまう。つまり秩序が保てない時が必ず来る。それが個体の死である。
ただ、その時にはすでに自転車操業は次の世代にバトンタッチされ、全体としては生命活動が続く。現に生命はこうして地球上に38億年にわたって連綿と維持され続けた。だから個体というのは本質的には利他的なあり方なのである。
生命は自分の個体を生存させることに関してはエゴイスティックに見えるけれど、すべての生物が必ず死ぬというのは、実に利他的なシステムなのである。これによって致命的な秩序の崩壊が起こる前に、秩序は別の個体に移行し、リセットされる。
したがって「生きている」とは「動的な平衡」によって「エントロピー増大の法則」と折り合いをつけているということである。換言すれば、時間の流れにいたずらに抗するのではなく、それを受け入れながら、共存する方法を採用している。

Posted by simfarm at 11:56 | Comments (0)

2009年04月26日

『されど“服”で人生は変わる』

ファッションは時代を映す鏡です。

私が公私でお付き合いしている人の中でも、“できる”方々はおしなべてオシャレで尖っています。
マーケターなのに“ファッションにうとい”、もしくは“ファッションセンスがない”なんていう化石みたいな人たちもいらっしゃいますが、そういうマーケターは信用しないほうが懸命ですよね。

さて、女性向けのファッションの本ですがものすごく共感した本がありましたのでご紹介します。

『されど“服”で人生は変わる』(齋藤薫著/講談社)

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下記に私がとても共感したり勉強になった部分をピックアップしました。
男性のファッションは女性よりも3年遅れていると言われておりますが、男性にもあてはまることが満載です!


【読書録】

・私たちが見逃しているいちばん大きなことは。男も結局、“頭のいい女”が好きっていう事実である。誰かを好きになる上で、“頭がいいこと”は、言わばひとつの大前提。
・社会的な偏差値を証明するのは、結局のところ“会話”と“見た目”だけ。ゆえに“愛され服”こそ、むしろ“頭が良さそうに見える服”、でないといけない。もちろん“頭が良さそう”には“可愛さ”もしっかり組み込まれている。四角四面のストイックなだけのファッションでそういう頭の良さが伝わるはずもない。むしろ“センスの良さ”こそ“頭の良さ”。“頭の良さそうなこと”こそスタイルがあること。頭が良さそうなコーディネートこそ、目に見える“洗練”なのである。
・人って、オシャレすればするほど“ヒマそうに見える生き物”
・(男は女のファッションに)何を望むのか?言うまでもなく“女として優れていること”である。頭の良さはもちろんだが、家のことも、人付き合いもうまい女であること、そして生きることそのものが上手な女であること。そこを見ているのだ。だって一生一緒に生きていくことになるかもしれない女だもの。女として、人間としても、優れていたほうがいいに決まっている。
・オシャレにおいて、いちばん頭の良さを香らせるのは、服よりも小物が目立つコーディネートかもしれない。ちゃんと考えて服を着ていて、誰とも一緒じゃない自己表現ができて、しかもその自己表現がさりげない・・・・。“シンプル服+小物”は、いわゆる“地味派手”の究極の形で、私ってこんなにスゴイ女よという自己顕示欲にはつながらないように、極めて優れた自己表現をする。そしてもうひとつは色づかい。モノトーンはいちばんデキそう。黒のシンプルな服がどこまで美しく華やかに見えるか。そこも、その人がもともと持っている知性の量に関わってくる。そしてまた配色の美しだけで見る人をハッとさせられるセンスは、やっぱりデキる女だけのもの。色づかいの上手は、ある種数学的な頭のよさを想像させるのだ。
・キレイな人って、早い話が“鏡を人よりたくさん見る人”、“人より多く化粧直しする人”
・ハッとするほどステキな人は、どの人も服自体は不思議に地味だったりする。
・派手な服ほど、そこにハッキリと、洗練なり斬新さなりがないと、逆にまったくパワーがなく存在がかすんで見えたりする。派手な分だけ、安っぽくみえるからである。人が着てこそ華をもつ服が洗練のある服だって覚えていて。
・オシャレは、永遠に答えの出ないナゾ解きみたいなもの。
・人が欲しがるものをイチ早く手に入れるパワーや、それを所有している自信が、やっぱりそれだけで女をエネルギッシュに見せ、周囲を圧倒するのは確か。パワーあるブランドものは、それをもつ人にもある種のオーラをもたらすことがあり得るのだ。同様に、今年のトレンドを誰よりも早く取り入れた人にも、同性を打ち負かすオーラがある。
・カジュアルがうまいことは知性の証明である。
・ネイビーは“女も納得させる男受け”の決め色なのである。
・オシャレとはある種、勇気がいるもの。いや、勇気のある人ほどオシャレだし、まだどんどんオシャレになっていく。
・“きちんと”ほど人をキレイに見せるものはない。
・“目上受け”のキモと言ってもいい清潔感と、年下受けのキモである今っぽさ、この両方を持ち合わせていることが、今の王道服の大切な条件なのだ。
・“本命服”の3大条件:「色がキレイなこと」「シルエットが美しいこと」「上質なこと」
・見ていて気持ちが明るくならない服、とっておいたらいつかまた着られるだろうと捨てられずにいる服を、思い切って捨ててしまおう。
・トレンドは“一部取り入れる”ような中途半端な形じゃなく、それこそ思い切って、目立つほどにトレンドして。中途半端だと、よほどセンスを感じさせない限り、おっかなびっくりに見えてしまって損。トレンドど真ん中の服を堂々と着た時、不思議なくらいに内なるエネルギーが湧いてくる。さすがは、時代を乗っけて走る電車。そこに乗ると、昨日までへとへとにくたびれていた人が、先頭きって走ってしまえる。
・良い買いものには、私たちが考えている以上の多大な効果が備わっている。
・雨の日こそめいっぱいのオシャレをするべきなのだ。本気を出して、“雨の日専用”の美しい靴を買う。“雨の日ファッション”は、ちょっと嫌味なくらいに完璧に、トータルコーディネートしておくこと。
・高度な色合わせができる人って、きっと相当に頭のいい、精神的にもバランスがとれた完成度の高い人に違いないと、直感的にこう思う。
・オシャレとは、早い話が人目を惹くこと。街ですれ違う人をハッとさせること。
・オシャレにおいて、本来絶対避けるべきことは、“年齢をもった服”を着ないこと。
・靴さえいいものをはいておけば、人間端正に見える。靴は“人間の種類”を足もとだけで決定してしまったりする。
・ちょっと“恥ずかしい”と思うくらいの服こそ狙い目。そういう服を、一瞬の勇気をもってエイッと着てしまうことがオシャレ。一度着てしまうと楽になる。自信もつく。次回はもっと堂々と胸を張って着られる。だからもっと似合ってしまう。
・“街でひとり目を惹く人”は、必ず何かを一点外していて、それが目を惹き、それが忘れられないほどカッコよかった人なんじゃないだろうか。
・“センス”って、辞書を引くと、“思慮”とか“分別”って書いてある。言いかえれば、“恥”の意識そのもの。センスがあるって、要は場面場面で、誰に対しても恥ずかしくない自分を作り、相手にも恥をかかせない自分を作る知性そのものなのだって、早く気づいてほしい。
・デニムが、ここまでファッションの軸になったのは、デニムがオシャレにおける唯一の“ブレーキ”だからだろう。デニムは毒をもって毒を制して“粋”をつくる、たったひとつの引き算アイテムなのである。重要なのは、デニム以外は多少トゥーマッチなオシャレをしていること。少なくとも華のある服を合わせないと、デニムは“労働着”になり下がってしまう。
・今のデニムはハッキリ言って、やせて見えなきゃ意味がない。体の細さ、長さを強調するデニムだけが美しいのだ。
・必ずスタイリッシュに仕上がるのは、黒をカジュアルに着る装い。
・“シーズンミックススタイル” 明らかに異なる季節のアイテムを、思い切ってひとつの体にコーディネートするのが今最高に高度なオシャレ。
・今はTPOがあってないような時代。確信を持った場違いが、“洗練”に見えることも少なくない。

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2009年03月04日

[オーディオブックCD] 『世界一おもしろい日本神話の物語』

ブログを書く時間ももったいない日が続いておりますが、これはおすすめなのでご紹介します!

[オーディオブックCD] 『世界一おもしろい日本神話の物語』(鳥遊まき著/パンローリング)

神話

日本神話のオーディオブックで、何とCD7枚セットで¥1,365ぽっち。
260分の普通バージョンが4枚、130分の倍速バージョンが3枚です。

私は倍速バージョンをiPhoneにDLして、移動の際に聞きました。
イザナキ&イザナミの2神の国生みから、ヤマトタケルノミコトによる大和朝廷の全国平定までの日本神話(ほとんどが『古事記』『日本書紀』から)が語られます。
パーツパーツは知っていたものの流れがわからなかったので、ものすごく興奮しながらあっという間に聞き終えました。
ゲームの女神転生(メガテン)にハマった経験のある人にはたまらないはず(^-^)。

ネタバレですが、大筋は以下の通りです。
これを読めばあなたも日本神話通???


<日本神話のヘッドライン>

・イザナキとイザナミがアメノヌボコで海をかき回したら、オノゴロ島ができた。
・女のイザナミが先に声を掛けたので、不完全な子供であるヒルコが生まれた。
・男のイザナキが先に声を掛けたら、健全な国生みができ、淡路島→四国→九州→本州ができた。
・火の神であるヒノカグツチがイザナミの産道を通ったとき、イザナミがやけどをして死んでしまった。
・ヒノカグツチはイザナキに首をはねられる。その首からタケミカズチが生まれた。
・死んだイザナミを追って、黄泉の国に行ったイザナキが、黄泉の国からイザナミを連れ戻そうとして、黄泉の神に地上に戻る許しを得るまで姿を見るなとイザナミに言われたにもかかわらず、待ちかねたイザナキはウジのわくイザナミの姿を見てしまい、それもかなわなくなった(鶴の恩返しの原型)。
・逆にヨモツシコメなどに追われて、命からがら逃げるイザナキ。
・イザナミは黄泉の国の王になってしまう。
・地上に戻った後に、黄泉の汚れを清めるために海でみそぎをした際に、イザナギの左目から生まれたのがアマテラス、右目から生まれたのがツクヨミ、鼻から生まれたのがスサノオ。
・スサノオは母のイザナミを思い泣き続けた。イザナキから地上を追放される。
・黄泉の国に行く挨拶に来たスサノオの乱暴に腹を立ててアマテラスは天岩戸に隠れて、世の中が真っ暗になってしまう。
・アメノウズメの踊りでアマテラスは誘い出されて一件落着。
・スサノオは高天原を追放された途上で、クシナダヒメを救うためヤマタノオロチを退治する。尾からクサナギノツルギがみつかる。クシナダヒメと結婚し出雲の地に居をかまえる
・スサノオの6代目、オオナヌジ(のちのオオクニヌシ)は、サメに毛をむしり取られたウサギを助けたとき、美しいヤガミヒメと結婚するのは兄弟たちではなくオオナヌジだという予言をもらう(因幡の白兎のエピソード)。
・その通りにヤガミヒメからオオナヌジと結婚することを告げられた兄弟たちにオオナヌジは殺されてしまうが生き返る。
・オオナヌジは紀の国(和歌山)からスサノオのもとに逃げる。ススリヒメと相思相愛に。スサノオがオオナヌジに鏑矢を探す試練を与える。オオクニヌシの名を与えて後継として認める。
・オオクニヌシは出雲の国で兄弟たちを家来にし、ススリヒメ、ヤガミヒメなどを妻として、地上を初めて支配。
・スクナビコナ(一寸法師の原型)、オオモノヌシに国の基礎づくりの協力をあおぎ完成させる。
・オオクニヌシなどの国津神から地上の支配を奪取したいアマテラスなどの天津神は、アメノホヒやアメノワカヒコを遣わすが失敗。
・次は剣の神のタケミカズチを遣わす。乗り物はアメノトリフネ。オオクニヌシの子であるコトシロヌシの承諾を得、タケミナカタとの戦い(相撲の起源)に勝利して国ゆずりを完成させる。
・葦原中国(地上)を治めるため天降りをしたのはニニギ(天孫降臨)。従者はアメノコヤネ、フトダマ、アメノウズメ、イシコリドメ、タマノオヤ、三種の神器(ヤサカノマガタマ、ヤタノカガミ、クサナギノツルギ)を持参。
・天孫降臨で迎えに来た国津神がサルタビコ。アメノウズメと伊勢に。
・ニニギはオオヤマツミの娘のサクヤヒメに求婚。醜いイワナガヒメとともに嫁ぐが、二二ギはイワナガヒメを返してしまう。イワナガヒメに永遠の命をウケイが掛けられていたため、それ以降天皇の命が限られたものとなったとされる。
・サクヤヒメはホオリ(山幸彦)、ホデリ(海幸彦:隼人の祖)、ホスセリの3柱の天津神を生む。
・ホオリが兄のホデリと猟具をとりかえて魚を釣りに出たが、釣針を失い、探し求めるためにワタツミ(海神)の宮殿へ。トヨタマヒメと結婚し、無くした釣針とシオミチノタマ・シオヒノタマを得て兄を降伏させた。
・ホオリとトヨタマヒメ(鮫の化身)の間にウガヤフキアエズを生む。
・ウガヤフキアエズは、トヨタマヒメの妹のタマヨリヒメと結婚し、イツセ、イナヒ、ミケヌ、ワカミケヌの四子をもうけた。末子のワカミケヌが、後にカムヤマトイハレビコ、神武天皇。
・カムヤマトイハレビコと兄のイツセは高千穂から東征開始。ナガスネヒコと大阪で対決。イツセが傷を負い紀伊国で死ぬ。
・カムヤマトイハレビコはヤタガラスに導かれ進軍、エウカシ、ヤソタケル、エシキ、ナガスネヒコ、ツチグモなどを征圧して中州を平定し、大和朝廷が始まる。
・景行天皇の皇子であるオウスノミコトが熊襲建兄弟を討伐。熊襲建弟よりヤマトタケルノミコトと命名される。
・次に出雲建も討伐。その後東征を命ぜられ、征圧を果たす。
・伊吹山(岐阜・滋賀県境)へその神を素手で討ち取ろうと出立した途中で白い大猪が現れる。これを神の使いだと無視をするが、実際は神自身の化身で、大氷雨を降らされ死ぬ。
・ヤマトタケルノミコトは白鳥になって飛んで行く。

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2009年02月24日

『「R25」のつくりかた』(藤井大輔著)

『「R25」のつくりかた』(藤井大輔著/日本経済新聞出版社)

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「R25」の前編集長(今は事業部長)の藤井氏がやっと本を出しました。
(もっと早く出せばもっと売れただろうという意味で)

藤井氏は、左脳と右脳のバランスが抜群で、しっかりと論理で積み上げて土台作りをした上で、高くクリエイティブジャンプができる人。
私がこれまで仕事をご一緒した人たちの中で、最も「センス」のよい人です。

私は藤井氏との仕事を通じて、調査のクリエイティブへのつなぎ方、そして調査の限界も知ることができたように思います。

この本は、「R25」への異動前まで一緒に仕事をしていた私にとっては当時が思い出されてただただ懐かしい内容なのですが、そうではない人にとっては、彼の非凡な「センス」の一端、地道な仕事への取り組み、そしてリクルートの新規事業の立ち上げ方などを伺い知ることのできる良書に仕上がっています。

Posted by simfarm at 04:07 | Comments (0)

2009年02月12日

『学問のすすめ 現代語訳』

『学問のすすめ 現代語訳』(福澤諭吉著 斎藤孝翻訳/ちくま新書)

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「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと言えり」

塾生時代に原著を読んで以来、ほぼ20年ぶりに読みました。
もうとっくに忘れていたので、本当に目から鱗な読後感でした。

もちろんも原著も素晴らしいのですが、この翻訳書も「名著」といっていいのでは?

今のところ、娘の日月に読ませたい本No.1です。

これから塾生になるかもしれない人も、ならないかもしれない人も、現在塾生の人も、塾生にならなかった人も、かつて塾生だった人も(MECEか?)、要は皆さん必読です!

ちなみに、慶応義塾で唯一「先生」と呼んでいいのは福澤諭吉「先生」だけです。

Posted by simfarm at 16:02 | Comments (0)

2009年02月03日

『理性の限界』(高橋昌一郎著/講談社現代新書)

またまた「大当たり」の本。

『理性の限界』(高橋昌一郎著/講談社現代新書)

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だって、本の題名からして、すでにセンスがいいもの(^-^)。

選択の限界として「アロウの不可能性定理」
科学の限界として「ハイゼンベルクの不確定性原理」
知識の限界として「ゲーデルの不完全性定理」

の3つを主題として、対話形式で「理性の限界」が丁寧に語られます。

現代の知識人として必須の教養が、それこそあっという間に身につきます。

良質な教養本であるとともに、良質な娯楽(ワクワク系の)本でもありますので、一気に読みたいところをやせ我慢して、仕事の息抜きや電車に乗っているときに読むのをお勧めします。

Posted by simfarm at 22:56 | Comments (0)

2009年01月19日

『予想どおりに不合理』(ダン アリエリー著/早川書房)

『予想どおりに不合理』(ダン アリエリー著/早川書房)

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あえてベストセラー本を本ブログで取り上げるのも何ですが、これは掛け値無しに面白い本です。

私にとってのNo.1の名著である『影響力の武器』(ロバート・B・チャルディーニ/誠信書房)に匹敵するほど。

仕事のみならず、間違いなくあなたの「人生」に役立ちます。

私がこれほど勧めたくなるような本も年にあまりありませんので、ぜひご一読を!

Posted by simfarm at 07:20 | Comments (0)

2009年01月10日

『情報力』(橋本大也著/翔泳社)

『情報力』(橋本大也著/翔泳社)

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ブログ「情報考学 Passion For The Future」(http://www.ringolab.com/note/daiya/)でおなじみの橋本大也氏の著書です。

たった90ページ足らずで1000円也。

30分で読めますが(右ページの図解だけなら15分)、「情報力」を仕事の糧にしている私でも、5つほど新たな「情報力」向上のTIPSをゲットすることができました。

すごい本というわけでもありませんが、元が取れるという意味では十分に良書です。

Posted by simfarm at 23:41 | Comments (0)

2008年12月10日

最近の課題図書

世の中景気の悪い話ばかりですが、景気の悪い話が大嫌いな私には、おかげさまで景気の良い話が日々入って参ります。
クライアントの皆様ありがとうございます!

「世の中気の持ちよう」とは申しますが、そう、これこそが真理。
市場は人の頭が作るもの。気持ちが100%なのです。
不安をあおるようなことを物知り顔に語っている人は、ホントに頭悪いな〜この人と思います。
そういった人には近づかないほうがいいですよ、皆さん。

私は、日本にとって「本当のポスト・モダン」がやっと到来するのではないかとウキウキしてさえいるですよ(^-^)。


さて、そんな私にとっての最近の課題図書をご紹介。

テーマは、日本の「ポスト・モダン」の大きな課題である「街並み」と「コミュニティ」です。

かつて読んだものもありますが、それらも含めて、いま一気に読み込んでます!

『日本の風景・西欧の景観 そして造景の時代』(オギュスタン・ベルク著/講談社現代新書)
『街並みの美学』(芦原義信著/岩波書店)
『続・街並みの美学』(芦原義信著/岩波書店)
『風土』(和辻哲郎著/岩波文庫)
『アメリカ 大都市の死と生』(J・ジェイコブス著 黒川紀章訳/鹿島出版会)
『輝く都市』(ル・コルビュジェ著/鹿島出版会)
『見えがくれする都市』(槇文彦著/鹿島出版会)
『明日の田園都市』(E.ハワード著/鹿島出版会)
『都市のイメージ』(ケヴィン リンチ著/岩波書店)
『集合住宅デモクラシー』(竹井隆人著/世界思想社)
『集合住宅と日本人』(竹井隆人著/平凡社)
『プライベートピア』(エヴァン マッケンジー著/世界思想社)
『コミュニティ 安全と自由の戦場』(ジグムント バウマン著/筑摩書房)
『コミュニティ・イノベーション』(菊田道夫監修/NTT出版)
『10宅論』(隈研吾著/ちくま文庫)
『負ける建築』(隈研吾著/岩波書店)
『住宅デザインの教科書 現代住宅の読み解き方』(ムック/エクスナレッジ)
『ディスタンクシオン』(ピエール・ブルデュー著/藤原書店)

ああ、最近マーケティングの本とか技術的な本は縁遠くなっちゃったな〜(><)

Posted by simfarm at 21:02 | Comments (0)

2008年09月23日

『ネオコンの論理』(ロバート・ケーガン/光文社)

『ネオコンの論理』(ロバート・ケーガン/光文社)

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世の中には“教養として”読んでおかなければならない本があります。
古典はもちろんですが、2003年に発行されたこの本もそんな本の右翼です。

私は最近いろいろなものにこの本が引用されていることを発見して、5年経った今やっと読みました。
ちなみに引用されていたのは、松岡正剛、東浩紀、内田樹、隈研吾といった好きな人たちの本や対談においてでした。
よく引用されているのは以下の2つです。


ナイフしか持っていないものは、森林をうろつく熊を、許容できる危険だと考えるだろう。この危険を許容しないのであれば、ナイフだけを武器に熊と戦うしかないが、この方法の方が、その場に伏せて熊が襲ってこないよう願っているよりも危険が大きいのだから。しかし、同じ人間が銃を持っていれば、許容できる危険についての見方がおそらく変わるだろう。戦うことだってできるの、かみ殺される危険をおかす必要があるだろうか。まったく正常なこの心理が、アメリカとヨーロッパの溝を生み出している。


ヨーロッパは万人に対する万人の戦いというホッブズの世界から抜け出し、カントのいう永遠平和の世界に入っているのだ。


また、Amazonのカスタマーレビューも31件もあって、いかにこの本が多くの人に読まれ、そして一言書き込まずにはいられないような内容だったことがわかります。


150ページ足らずのこの本を読んで、私にもとても大きな発見がありました。

ヨーロッパ、しかもドイツで環境問題の取り組みがもっとも進んでいる理由がなんとなくわかった気がします。
以下、本文を引用しつつ、私の考えをまとめてみました。

1)第二次世界大戦後のヨーロッパは、荒廃した悲惨な世紀の教訓、とくにドイツの「覇権主義的野心」を封じ込めることを最大のテーマとして動いてきた。
2)過去のヨーロッパを意識的に拒否し、権力政治の悪や武力による解決を拒否し、多国籍主義と国際法を重視する姿勢をとっている。その代わり安全保障は多くをアメリカに依存しているという矛盾もある。
3)そのプロセスにおいて、彼らの注目は「脅威」から「課題」に移った。弱さのために解決しえない「脅威」への問題は米国にまかせて、政治的な関与や巨額の資金によって解決できる可能性が高い問題に強い関心を持つようになった。
4)その強い関心のある「課題」の筆頭が、「環境破壊」「地球温暖化」である。
5)EU統合においてヨーロッパで成功した「間接的な方法」を世界全体に広めることが植民地時代のものに代わる新たな「文明化の任務」となったが、その原理によって、「環境問題」に積極的に取り組み、それを世界全体に広めようとしている。
6)とくに自国の「覇権主義的野心」にいまだ恐れを抱いているドイツは、その恐れが反転して「環境問題」解決への強力な推進力になっているのではないかと推測できる。

一つの仮説としては「あると思います!」(by天津木村)


<備忘録>

●ナイフしか持っていないものは、森林をうろつく熊を、許容できる危険だと考えるだろう。この危険を許容しないのであれば、ナイフだけを武器に熊と戦うしかないが、この方法の方が、その場に伏せて熊が襲ってこないよう願っているよりも危険が大きいのだから。しかし、同じ人間が銃を持っていれば、許容できる危険についての見方がおそらく変わるだろう。戦うことだってできるの、かみ殺される危険をおかす必要があるだろうか。まったく正常なこの心理が、アメリカとヨーロッパの溝を生み出している。

●脅威に対応する能力がない場合、脅威を許容するのではなく、脅威を否定することもある。自分では何もできない点については、考えないようにするのが普通だ。

●アメリカでは、「大量破壊兵器の拡散、テロ、『ならず者国家』」などの外国の「脅威」が注目される。ところがヨーロッパでは、「民族紛争、移民、組織犯罪、貧困、環境破壊」などの「課題」が注目される。ヨーロッパは、政治的な関与や巨額の資金によって解決できる可能性が高い問題に、特に関心をもつ。言い換えれば、ヨーロッパは自分たちの強みを活かせる「課題」には注目するが、自分たちの弱さのために解決が難しい「脅威」には注目していない。

●冷戦締結後のヨーロッパは、過去に前例がないほど「無料の安全保障」を教授している。

●世論調査によれば、アメリカの方があらゆる種類の安全保障への脅威への懸念が強く、ヨーロッパの方が地球温暖化への懸念が強くなっており、どちらの世論も世界のなかで自国の役割が違う点を驚くほど正確に認識しているといえる。

●ヨーロッパにとっては、多国籍主義と国際法を大切にするよう主張すれば、現実的な利益を確保できるうえ、ほとんどコストがかからない。

●こうした文化は戦後のヨーロッパの歴史から生まれたものである。過去のヨーロッパを意識的に拒否した結果であり、権力政治の悪を拒否した結果である。

●欧州連合(EU)は、ヨーロッパが戦争で荒廃した悲惨な世紀の教訓から生まれたものなのだ。

●ヨーロッパの統合によって封じ込めようとしているのは、とくにドイツの「覇権主義的野心」である。ドイツをヨーロッパの秩序のなかに統合し、平和的な国にしたことこそが、ヨーロッパの偉大な成果である。

●ヨーロッパの外交政策は、アメリカを多国籍主義に誘導することを主要な目標としている。国連安全保障理事会の決議にしたがってのみ行動するよう、ヨーロッパがアメリカに求めているのはこのためだ。ヨーロッパにとって、国連安全保障理事会は、自分たちに欠けている軍事力に代替するものになっている。

●ヨーロッパは万人に対する万人の戦いというホッブズの世界から抜け出し、カントのいう永遠平和の世界に入っているのだ。

●現状は皮肉に満ちている。ヨーロッパが権力政治を拒否し、国際紛争を解決する手段としての軍事力の役割を軽視しているのは、ヨーロッパにアメリカ軍が駐留を続けている事実があるからなのだ。ヨーロッパがカント流の世界平和を実現できるのは、アメリカが万人に対する万人の戦いというホッブズ流の世界の掟に従って軍事力を行使し、安全を保障しているときだけである。

●外交、交渉、忍耐、経済関係の深化、政治的な包容、制裁ではなく誘導、対決ではなく妥協、小さな手段の積み重ね、問題を一挙に解決しようとする性急さの抑制。ヨーロッパの統合を可能にしたのはこれらの方法である。

●ヨーロッパ統合の奇跡は、少なくともヨーロッパ域内で、軍事力を拒否し、国際紛争を解決する手段として軍事力の役割を拒否したことで達成された。

●EUの「核心」は、「国家間の関係を法の支配に委ねる」ことにつきる。

●ヨーロッパで成功した「間接的な方法」を世界全体に広めることが、植民地時代のものに代わる新たな「文明化の任務」となった。アメリカの軍事力と、必要なら単独でも軍事力を行使しようとする姿勢は、ヨーロッパにとって新たな任務の遂行を妨げる脅威となる。

●フランスはいまだにドイツを信頼していいのか確信をもっていないし、ドイツは自国を信頼していいのか確信をもっていない。こうした恐れによって、統合の深化に向けた動きがときに妨げらかねないが、無数の障害を乗り越えてヨーロッパ統合が進められてきたのも、じつはこの恐れのためである。統合の動きのひとつには、自国に対するドイツ人自身の恐れによって推進されてきた。

●ポストモダンの世界にとっての課題は、二重基準(ダブルスタンダード)に慣れることである。自分たちの間(ヨーロッパ域内)では法律を守る。しかしジャングル(ヨーロッパ域外)で活動する際には昔の荒っぽい方法に戻る必要があり、軍事力、先制攻撃、策略など、ジャングルの掟を使うしかない。

●アメリカは、狭い意味での国益の追求ではなく、同盟国が国内・国外で直面する問題にどこまでうまく対処できたかを基準にする方法を、驚くほどとってきた。

●冷戦後「欧米」の重要性は低下し続けている。ソ連の共産主義と対峙したときとは違って、イスラム原理主義は欧米の自由主義の普遍性を脅かす深刻な脅威にはなりえない。

●アメリカは偉大な国にならなければならない、そしておそらくはもっとも偉大な国にならなければならないと、独立当初から信じてきた。建国の原則と理念が疑問の余地なく優れていたからであり、18世紀から19世紀にかけてのヨーロッパの腐敗した王国のものより優れていたのはもちろん、人類の歴史のなかで登場したどの国、どの政府の理念よりも優れていたからだ。

●ベンジャミン・フランクリンが論じたように、「アメリカの大義は全人類の大義」である。

●経済規模は現在、アメリカとヨーロッパはほぼ同じだが、現在の趨勢が変わらなければ、2050年にはヨーロッパの2倍になるという。若く、活力があり、多彩なアメリカと、高齢化し、活気を失い、内向きになったヨーロッパの格差が鮮明になるだろう。

●アメリカは啓蒙主義を忠実に受け継いでおり、いまでも人間の完全性を信じ、完璧な世界が実現するとの希望を捨てていない。だが、完璧なものにほど遠い世界では軍事力が必要だと信じている点では、現実主義者である。

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2008年09月20日

『東京育ちの東京論』(伊藤滋著/PHP新書)

『東京育ちの東京論』(伊藤滋著/PHP新書)

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最近は、毎日2~3冊は何かしらの本を読んでいるので、沢山紹介したい本があって困ります(^-^)。

この本は出版が2002年と都市論とすれば致命的に古いのですが、薀蓄系が抜群に面白い本です。

本論である、

「西の優位、東の隷属」

という構造解析も面白いのですが、特に鉄道の薀蓄話が愉快で、

「東部東上線や西武池袋線は農家が必要とする東京の市街地から汲み取られる糞尿を運んだ。」
「京王線は、当時南多摩の農民が新宿に買い物にくる電車だった。」

なんて話には笑ってしまいました。

山梨県出身の私にとっては、

「山梨や長野からの人間は「飯田橋」を終点として、東京の各地へ流入していった。」

という記述を読んで、会社事務所のある神楽坂(≒飯田橋)にものすごく近しい感じを持つのは、そのせいかもと思い至りました。


<備忘録>

●第二次世界大戦を振り返ったとき、日本は兵卒が、ドイツは下士官が、英国は将校が、戦線においては最も強かったといわれている。

●終戦直後の日本は自給自足でひっそりと生きていく道を模索していた。デンマークのような国家になろうということで、北欧の小国が紹介されたりしていた。

●東北には所有者のはっきりしない山林がたくさんあり、集落が所有していた薪炭林だった。皆がそこから山菜を採り、薪を拾い、材木を伐り出して家を建てたりしてきた、いわば共有スペースだった。農村社会では、それは当たり前のことで、昔から循環型地域コミュニティが形成されていた。今の時代には逆に違和感がなく、むしろ歓迎される森林の利用方法であると考えられる。

●日本列島における東西の仕組みは単なる対立構造ではなく、「西の優位、東の隷属」という関係である。

●関西からの人間は「新橋駅」、東北の人は「上野」、千葉の人は「両国」、そして山梨や長野からの人間は「飯田橋」を終点として、東京の各地へ流入していった。

●東部東上線や西武池袋線は農家が必要とする東京の市街地から汲み取られる糞尿を運んだ。

●京王線は、当時南多摩の農民が新宿に買い物にくる電車だった。

●京葉線、武蔵野線は、もともとは貨物線だった。

●定職に就かないが、文化的な仕事に従事している、金はないけどプライドは高い。そういった人たちに小さい住宅地や借家をたくさんつくって、安い住宅を供給したのが中央線沿線の農地解放後のプチ地主たちだった。

●東海道線には西日本人の持つ主流派の意識がある。

●横須賀線は、主流派の意識に加えて、もともと海軍基地であった横須賀鎮守府へ通じる軍事的にも重要な電車だったのでスピードは抜群に速かった。

●総武線、常磐線、京成電鉄、東武鉄道、どの沿線をとっても、“歴史始まって以来”大学が設立されていない。

●都市計画は強権をもって実行しなければ、後世に残る資産を作れない。

●戦後、日本は金融政策だけで、きちんとした都市計画もなく国民にただ住宅をつくらせ、結果として都市は無残な姿になってしまった。ヨーロッパの都市では、政府主導で建設が行われた。イギリスは地方住宅建設公社を設立し「カウンシル・ハウジング」という集合住宅を供給した。東ヨーロッパでも政府が社会主義住宅(ソーシャル・ハウジング)を作ったが、老朽化で今は大変な問題になっている。

●戦後日本の土地所有で注目すべきことは、大量の小作人や普通の庶民が地主階級になってしまったこと。農地解放で土地を手に入れた小作人は、小商人的知恵で自分の土地を売ったり、そこに貸アパートを建てたりしたため、制御不能に陥った。

●日本経済が成長していく過程でおきた大都市の激しい住宅需要に対応しようとした実態は、結局そのしわ寄せを膨大な零細地主と零細工務店が一手に引き受け、その辻つまを合わせていくということでもあった。

●一般的な都市の中で、建物敷地についての土地利用面積のうち、60%が住宅地で、10%が学校などの文教施設や役所、15%が商業や業務地域で、残りの15%が供給処理施設や倉庫。

●土地には過去の歴史の蓄積と、そこに生きた人たちの情念が染み付いているが、こと埋立地に関しては、そのようなしがらみがない土地といえる。東京は、徳川家康以来、過去のしがらみのない、まっさらな新天地の割合が大きい都市である。

●東京は「村落型巨大都市」 有機体的・複合的な接触関係が市民の社会のなかに成立している都市。

●東京のように巨大化した都市では全体を見つめた「解」はつくれない。全部「部分解」になる。

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ドイツ人研究(その3)

ドイツ環境関連書では今のところピカ一の本です。

『環境にやさしいのはだれ?-日本とドイツの比較-』(K.H.フォイヤヘアト&中野加都子著/技報堂出版)

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多分誰も読まないとは思いますが、この本の膨大な赤線箇所を以下に写経のように引用しておきます。

ソフトカバーなのに2800円もしますが、その10倍以上の価値がある、ほんとに良い本でした!(^-^)


<引用>

●ドイツから学ぶことは枝葉末節な環境対策よりも、国としての座標軸を失わないこと。

●日本ではヨーロッパでいう「自然」の対立概念として「人為」が存在してきたのではなく、両者の境界線を曖昧にすることによって、独特の文化を育み、自然環境を保全してきた。

●日本人の使う「自然」という言葉は、英語のいわゆるnatureの訳語そのものではなく、山、川、海、風などと共存した人々の営みから生まれた自然界で起こる事物全体の抽象的、曖昧な事象すべてを指していることが多い。

●敗戦後の約半世紀の間に無批判に欧米文化を受け入れてきたことによる弊害が、今日の環境問題につながっている可能性がある。にもかかわらず、なぜ、また海外の環境対策を安直に直輸入して解決をはかろうとするのか。

●日本では自然界のすべてのものに「いのち」の存在を認めてきたこと、人間は自然の一部にすぎないと考えてきたことと、もう一つは人口を自然の境界が曖昧だということである。

●ヨーロッパでは、「自然」とは「人工」の対立概念で、人間の外なる対象として存在する。自然は人工によって完成されるという考え方もある。

●日本では自然を対象化して捉える姿勢が希薄。

●ドイツの気温は、地域によって差があるものの、おおよそ北海道と同じぐらいである。ドイツに住む人にとって重要なことは暖房である。

●地域余熱利用技術
 ・ヘアフォアト市「ザットラウェーク」
 ・シュペリング村「スチーゲルボッテ」
 ・シュタットハーゲン市「オーブストアンガー」

●3リットル住宅(1㎡当たり3ℓ/年で暮らすことのできる家)
 ・地価に設置された燃料電池(天然ガスによるもの)により、発電と給湯を行う
 ・三重ガラスの採用
 ・屋根材への断熱材の採用
 ・潜熱蓄熱しっくい(レンガづくりの住宅は一度冷えると室温が下がりやすい欠点をカバー)
 ・熱回収型エアコン(屋根に取り付け)

●ヨーロッパ人から見て、日本の伝統的な考え方である、自然の営みに委ねるという考え方は驚きに値するものである。同時に日本の大都市のように、自然が台なしにされていることをあまり深刻に考えない感覚にも驚く。

●ドイツでは自然を「対象」として考える文化があったため、自然との調和やバランスを考えることを常に怠らなかった。一方の日本では、自然を「対象」として考える習慣がなかったために、いったん、自然破壊が始まると、前もって管理・制御することなく放置されることとなり、結果として、済し崩し的に自然破壊を進めてしまったことにつながったのではないかと思われる。

●自然・生活・芸術の境界を曖昧にしてきた日本の伝統から考えると、環境管理手法に従った数値的な管理によるよりも、「もったいない」という価値観を見直す方が効果的かもしれない。

●日本人はモンスーン的、すなわち、受容的・忍従的であるとされる。自然を征服しようともせず、また敵対しようともしないにもかかわらず、台風的な性格が人間のうちに戦闘的な気分を沸き立たせずにはおかず、突発的に燃え上がるけれども突如として静寂なあきらめにつながる。桜の花に象徴される日本人の気質はこのような突発的忍従性に基づいている。

●ヨーロッパにおける安定的な自然環境から、単調にして温順な自然と征服的に関係するヨーロッパ人は、土地の隅々までを人工的に支配し、その支配を容易にするために熱心に機械を使うことを考え、合理的な技術を開発してきた。

●征服可能で温順な自然との関係を基盤とする風土的過去と、法則性に基づく自然科学のうえに「環境管理」の考え方を打ち出してきたのがヨーロッパであるとするなら、日本には不規則、突発的な自然を、コツと知恵によって手なづけ、豊かな文化を築きつつ自然と付き合ってきた風土的過去がある。

●ドイツでは経済とそれ以外の複数の指標で豊かさが捉えられるのに対し、日本では「モノ、カネ」といった経済単一指標で豊かさが捉えれがちである。

●日本は自国の産業活動などを発生源としたCO2や環境汚染物質が、他国または地球規模で与える影響をはっきり認識できる機会も少ない。一つには日本はオイルショックを契機に省エネルギー対策を限度まで進め、先進国中でも1人CO2排出量が少ないことをはじめ、官民協調体制で先進的に環境汚染の防止に努めてきたことと、もっと単純に、中国大陸の東端から日本まではドーバー海峡の約22倍もあるという地理的条件のために、他国または地球環境に与える環境影響を現実問題として認識しにくい。

●ドイツのような陸続きの国には自然あるいは環境に国境がない。大気は複数の国で共有のものであるし、ライン川やドナウ川のようにその水源から河口に至るまでに何カ国も経由する河川が珍しくない。

●ドイツでは意識したり考えるだけではなく、行動に移す。

●日本では大陸から離れた孤島であることが一つの大きな要因となって、「みんなが正しいと言うこと」、すなわち、行政も多数の学者も地球環境問題を何とかしなければならないと言っていることが社会的な正義となった。それへの対処が多数の利益、すなわち、企業活動や生活者にとって利益になるという意識から、地球環境問題への意識が高まった。しかし、実際にその問題が深刻に受け止められているかというと、ごみ問題のような目前の深刻で現実的な問題以外は必ずしもそうではなく、対策も実行に移されにくい。

●ドイツでは、大陸の中にあり、自然や環境に国境がないという点で、現実の問題として地球環境問題が認識されている。そして、陸続きで他国との政治的国境があるという緊張関係が、すぐに行動に移すことを習慣づけている。

●直接的にドイツと同じような方法で環境意識の向上を図るより、日本の置かれた条件に合った方法、例えば、国内で直接感知できる環境状況によってではなく、むしろ、地球環境の変化によって他国が受ける被害が日本にもたらす影響を理解できるようにすることの方が、環境意識を向上させていくうえで有効であるといえるかもしれない。

●ドイツでは環境省が州ごとにあり、各州に環境大臣がいる。

●日本では衣食住の中で「食」に対する関心が高い。ドイツでは「食」よりも「住」に対する関心が高い。

●「もったいない」という言葉が日本で死後同然になってしまった。

●1965年くらいから、使えるものでもどんどん捨てて経済を発展させるのが人類にとって唯一の正しい生き方だと日本人が本気で思い始めた。そして自国の文化よりも欧米の文化を重視してきた。

●日本はリサイクルに関する技術や法律など、「出口対策」を学ぶために大勢の視察団をドイツに送り込んでいるが、ドイツは「入り口対策」主体の国だということである。

●日本人が伝統的な自国の文化を軽視した「付和雷同型」であるのに対し、ドイツ人は自国の文化を徹底的に守る「頑固一徹型」であると言える。

●国として軸のない付和雷同型は好ましくないが、素直に新しい考え方や技術を受け入れて坩堝に入れ、単なる物真似ではない新しい文化や価値を創造してきた国民性は、ドイツ人から見ると敬意に値する面もある。

●ドイツの電気、ガスの料金は日本の約半分。日本の持ち家率が60%に対して、ドイツは40%。ドイツの消費税は16%。

●役に立つ海外の技術や知識の吸収に努めつつ、日本の伝統的な「もったいない」という概念を復活させて字密な暮らしを取り戻すことが、当面のわかりやすい目標であるように思われる。

●ドイツ人は日常的に住宅の修理やメンテナンスを行っている。木造住宅の場合でも雨のかかりにくい設計などにより百年程度住み続けることが基本。そのため、絶えず維持管理をする。

●新しく住宅を建てる場合に、骨組みだけ専門業者に任せ、内装は自分で行うという契約形態もある。修理の専門書や、部品交換を行って不都合が生じた場合の異議申し立てや訴訟を行う場合に、専門家の紹介を行う消費者相談センターもある。

●アフターファイブや休日の活動として、住宅のメンテナンス、修理を行うことが日常的であり、室内のインテリアを含めて、長く大切に使うことが基本であるドイツの「ストック型」ライフスタイルから学ぶべきことは多い。

●日本においては、消費者の選択肢を広げ、消費者の意思と工夫によって長く使い続けられる情報システムを一般化すること、そして消費者も、使い捨ててまで新しいものを持つことから、維持管理しながら長持ちさせることをレジャー感覚で楽しむことへの「価値転換」を図ることが求められる。

●池田勇人の経済ブレーンだった大蔵省財務調査官の下村治が「経済を急速に成長させるには、工業生産力をつける必要がある。重要なのは住宅などの生活資本への投資ではなく、民間企業の設備投資だ」と明快に割り切った考えを示した。

●得倍増論の延長線上に今日の便利で物質的に豊かな生活と、「モノ、カネ」の尺度しか持てない「精神的貧しさ」がもたらされた両面がある。

●1960年代14年間経済相を務めたエアハルトの「経済発展を主導するただ一つの尺度は生活者の視点である」という考えのもと、普通の人々の富と福祉の向上に力を注いだため、急速な余暇の増大やワークシェアリングが進んだ。

●ドイツの大きな価値観・考え方 「不必要と考えることを単純に受け入れられない」。ドイツから学ぶことは、「入口」で1人1人が自分にとって必要かどうかを冷静に判断し、不必要と考えることを拒否できる主体性である。

●ドイツのBASFなどの企業が主体となって、プラスチックを規制しようとする国に対抗する手段として製品などの環境適合性を照明するために、環境負荷評価手法を発展させた。これはLCAを国家プロジェクトを軸として発展させた日本との大きな違いとなっている。

●新エネルギーの弱点は、自然条件に左右され安定供給が困難なこと、発電量に比べると施設が過大となること、などからくる稼働率の低さと、コスト高。

●ドイツの再生可能エネルギーによる発電は、2001年度には約7%に過ぎなかったが、2010年までに総エネルギー消費における10%以上に高める計画。2000年施行「再生可能エネルギー法」(EEG)がその核。

●ドイツのエネルギー政策の柱は、
 ・脱原発
 ・EU内の電気とガスの貿易の自由化
 ・京都議定書の実施

●日本では過去に「住宅用太陽光発電導入基盤整備事業」において、住宅用太陽光発電の普及の兆しが見られたにもかかわらず、順調に補助を進められなかった。

●EUではエネルギー源の再生可能エネルギーへの大幅な転換だけではなく、化学品使用に関する予防原則など、20世紀とはまったく違った新しい価値観、哲学を打ち出し、アメリカを中心とする勢力との対抗軸を構築しようとしている。

●ドイツでは必要なエネルギーの確保については比較的楽観視している。これは、石油や天然ガスのパイプライン網や送電線がヨーロッパ内でネットワーク化されているために、エネルギーの輸出入が容易である。そのため、国内で極端に悪い状況になっても他国から調達することが可能だからである。

●ヨーロッパではもともと、日本やアメリカほど便利な生活はしていない。

●日本では便利で物質的に豊かな生活をしながら「ドイツを見習って原発を廃止し、再生可能エネルギーの利用を促進すべき」という風潮がある。そのうえ、エネルギー政策上の失敗は許されない。ある対策だけを断片的に取り上げて「ドイツを見習う」ことの問題は、エネルギー問題にもあてはまる。

●地形的に日本は非常に特殊な条件にある。そして、アメリカと違って、戦前までの長年にわたる独自の生活様式や文化の蓄積があり、それは今後世界が目指すべき「持続可能性」を秘めたものである。ドイツがEU全体と一体となって独自の方針を打ち出しているように、日本でも今後、地形、歴史、産業や生活の状況、価値観や文化などをセットにして、オリジナルな対策を追求することが課題である。

●ドイツが「環境税」を導入した4つの前提
 ・労働に関する価格と資源の価格のアンバランス(労働>資源)の是正
 ・ものの値段はエコロジー的真実を表さなければならない
 ・環境政策の簡素化(沢山の秩序法をまとめる)
 ・膨大なエネルギーの無駄づかい

●税導入後、国民に向けては家電製品の使い方、待機電力への注意、コンセントのメーターの取り付け、建物のリフォーム、ソーラー・家庭内小型コ・ジェネ器具の設置の仕方、省エネ住宅の紹介、まきの使い方などの詳細な省エネへの具体策が情報提供されている。

●2002年3月調査 「環境税に賛成」83%。

●「環境税」実施へのプロセスは単純なものではなく、現在でも試行錯誤段階である。

●ドイツのNGO活動では、反原発や企業活動への批判を目的としたデモや破壊活動など、過激な行動を通じて社会にアピールしてきたのに対し、日本では行政と一体となった活動を通じて政治への市民参加を図る活動が中心などの違いが見られる。

●日本におけるNPOは、一般的に「環境保全等を目的として、善意から自発的な活動を行う組織」と位置づけられている。

●2004年3月までにNPO法に基づき認証された1万6160団体のうち、「環境保全を図る活動」(29.2%)と「街づくりの推進を図る活動」(39.4%)をあわせると68.6%となり、環境関連は主要な分野となっている。

●ドイツの代表的なNGO アムネスティ・インターナショナル、WWF(世界自然保護基金)、グリーンピース

●当初は「道徳長官」のような権力を持っていたが、その後「保守勢力との妥協」「エキスポ2000での主張の後退」「活動の変質」「役職目的、新しいエリートを目指す人の出現」「政治的権力を獲得するための組織の変質」「権力を握るための妥協」など成熟・肥大化した。このように変質し始めたNGOは、一部から「die Oekos(エコ人間)」というあだ名で呼ばれている。

●日本ではドイツで批判的な目で見られている対話、円卓会議、委員会活動の方が、活動当初からむしろ一般的であり、官民協調型、あるいは企業がステークホルダーとしてのNPOを聞くといった協働活動となることが多い。

●地域特性抜きに環境対策を考えることは不可能である。例えば各国、各地域における人間社会は、地理的・自然的条件という根本的事実の上に文化を蓄積してきたが、それぞれの人間社会内の技術や社会システムなどは、根本的事実や文化のうえにつくりあげられているからである。

●ある結果が、それに至る長い歴史的蓄積や、国としての固有の文化や国民性、地域性に大きく依存していることを一切抜きにして、「参考」ではなく、どこかで無意識のうちに「グローバルな世界での理想的な事例」かのように認識され始めると、現実として大きな矛盾を抱えることになる。

●「バーチャルな豊かさ」(さらなる物質的豊かさと精神的な豊かさ、安全・安心の高さの同時実現)への欲望は、長い歴史を通じて生活者が一般的に持っていた自然と調和して暮らしていくためのバランス感覚、自然への謙虚さ、文化の核心、生活と文化の共同体としての国という意識まで失わせているように思われる。かえって目標を不明確にしている。

●ドイツ「消費者情報提供法案」 消費者に十分な情報を提供することによって「賢い消費者」を育て、消費者自身の選択、責任、判断能力を高めるのが目的。情報提供の前提としては、情報を保有し優位性のある企業に対して、消費者は受け身の、保護されるべき存在であるため、消費者の選択を助ける最低限必要な情報を企業が提供すべきという考え方があるが、それに加えて、ドイツではむしろ十分な情報を消費者に提供することを通じて消費者を育て、自己責任能力を高めることが目的の一つと考えられている。

●日本には新しい時代が到来したのではく、新しい技術やシステムを媒介として、本来、日本が持っていた社会に戻っていきつつあるという考え方のほうがよい。

●ドイツ人のライフスタイルの根底にあるのは「私たちはこれでいいのだ」という国民の価値観と伝統を重んじる精神である。ドイツと対比して、日本は「足るを知る」ことを忘れ、伝統や誇りを失っている。今後の循環型社会構築のプロセスでは、社会システムや技術だけではなく、日本人としてのアイデンティティと誇りを何としてでも取り戻したい。

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2008年09月16日

ドイツ人研究(その2)

かな~りよくわかってきましたよ、ドイツ人の環境意識・行動のことが(^-^)。

ドイツ人関連の本はもう何冊か読破しましたが、2番目に面白かった本がこれ。

『エコライフ-ドイツと日本どう違う-』(高松平蔵・アンドレア著/化学同人)


最も面白かった本は、赤線引きまくりでまだ備忘録のテキストに落とせていないので、出来次第UPします。
ちなみに1番面白かった本は、

『環境にやさしいのはだれ?-日本とドイツの比較-』
(K.H.フォイヤヘアト&中野加都子著/技報堂出版)

でした。


<『エコライフ-ドイツと日本どう違う-』備忘録>

●ドイツ人は安全と健康をとても大切にする

●ドイツの家には必ず地下室がある

●ドイツは「市場経済」を選択した国ではあるが「市場社会」にはしていない。「社会的市場経済」という理念を戦後の経済政策として選んでいる。一方、日本の光景は「市場社会」すなわち消費文明を選択したように映る。

●ドイツは「買いたいものを買っている」が、日本は「買いたくないものも買わされてしまう」。消費文明の「媚態」に弱い日本。

●ドイツ人はシステムをつくるのがうまい。さらに、システムをきちんと生かすためのルールづくりとその順守が徹底している。

●日本は計画はあっても理念と共有の徹底が全くない。

●ドイツの環境に対するスタンスは「愛するものを守る」。ここには人間が自然に対して愛を与えるというキリスト教的な影響がある。日本であれば「自然の恵みに感謝する」。こちらは逆に自然から何かを与えられているという関係だ。

●極端な話ではあるが、親子でいえばドイツでは「親=人間、子供=自然」、日本では「親=自然、子供=人間」。日本では自然に対して恐れはあるが甘えもある。

●ドイツで環境教育が熱心だったのは1995年ぐらいまで。最近は環境よりも、もっぱらITやマルチカルチャー(多文化)にスポットがあたっている。

●ドイツでは1994年に基本法に「国は、未来の世代に対する責任という面においても、自然な生活基盤を保護するものとする」という項目が加えられ、環境保全が国家目標の一つに引き上げられた。

●ドイツ人が環境配慮型の行動ができる大きな理由として、地域単位での「結晶性の高さ」が見逃せない。ドイツの地方は独立性が高く、地域単位で完結している。働くこと、学ぶこと、買い物やレジャーといったあらゆる人間の営みが同一地域で行われる。

●環境に対する意識が高い世代が親となって、世代を超えて「自然志向」という新たな価値観をごく普通に共有できるようになった。

●ドイツ人は日常生活のなかで、実によくストレスという言葉を使う。とにかく不快感をよく表明する。ドイツ人は文句の多い国民としても有名だ。裏を返せばドイツ人は実にわがままなのだ。それは「快適性」をめぐる議論ができることでもある。

●「わがままの共有化」によって、公共性の問題になる。快適性を求めるわがままが重なれば、住環境がどんどん向上する。環境問題も同様で、住環境の向上と関連付けられて考えられている面がある。

●彼らにとって「環境=生活」であり、あくまで自分たちの生活を中心に考えているということだ。自分の人生は自分で決める権利があり、そのための生活を継続できる環境が必要ということである。

●ドイツでは家は冬のために作られる。すべて二重窓。ドイツ人は家のエネルギー効率を高めることに余念がない。日本は逆に夏向きに風通しのいい家がつくられてきた。

●古い家を大切に使うけれど、どんどん自分風に改築する。部屋の一部をサンルームにするケースもしばしばある。

●ドイツの照明は「ろうそくの電化」レベルであり暗い。日本は蛍光灯で明るすぎる。

●タイタニック号が沈むとき、船長が男性から海に飛び込むように説得する。
  イギリス人には「あなたは紳士だから」
  アメリカ人には「飛び込めばあなたはヒーローだ」
  ドイツ人には「ルールだから飛び込んで」
  日本人には「みんなが飛び込むから」

●今は「グリーン」が日常化した。社会と政治のなかでシステムになってしまい、感情的ではなくなった。自分の生活水準を環境のために下げようとしている人は1996年が54%だったのに、98年は44%。

●「自分がやろうと思えばやる」ということが日本人には難しい。自分は社会でどう見られているかということを、日本人は大切にしている。日本人は「グループメンタリティ」が高い。ドイツ人は基本的に「自分が社会」だと思っているから、自分が納得すれば行動に移す。

●日本人は現状維持をよしとする傾向がある

●ドイツは生活の延長にきちんと政治がある

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2008年09月13日

『新・都市論TOKYO』(隈研吾・清野由美著/集英社新書)

『新・都市論TOKYO』(隈研吾・清野由美著/集英社新書)

今や建築界の大家の一人である隈研吾氏の最新著書です。

隈氏には、10年くらい前に住宅都市整備公団(現在のUR都市機構)から委託され私が企画・運営した「住宅市場の未来に関するデルファイ調査」プロジェクトで、専門家として参加いただいたことがあります。
このときの専門家メンバーには『下流社会』の三浦展氏もいて、今思うとなかなかすごい顔ぶれでした。

そのプロジェクトでは、氏の思想の広さ・深さ、そして語彙の豊富さに圧倒された記憶がありましたが、この本においてもその才は遺憾なく発揮されておりました。

たった2時間で読めますが、正直面白すぎて終わるのがもったいないくらいでした。

「街並みに対する感受性は教養の中でも一番上位にくるもの」

なんだそうです。

少しでもTOKYOという世界最大の都市や、街並みに興味のある方には絶対におすすめです。


<備忘録>

●1939年にコロンビア大学所有の土地に完成した14のビルからなるニューヨークのロックフェラーセンターが都市再開発の第一号。

●規制型都市開発は、外壁はレンガにすること、といったたぐいの、材料から色まで厳しいルールが適用されている場所もあるし(主にヨーロッパ)、逆に高さや容積率だけを定める緩いルールで規制されている場所もある。

●規制という方法によって魅力的な都市が形成されるには二つの条件が必要である。①その都市の構成要素であるデザイン、素材について選択の余地がないこと。②時間:成熟化が規制型の都市計画をどんどん困難にしている。いったん成熟期に入ってしまった都市の魅力をそこからさらに向上させることは一般的にいって決して容易ではない。

●19世紀の建築において、デザインは「建築様式」(たとえばルネッサンス様式、バロック様式、チューダー様式)によってコントロールされていた。その様式は流行として移り変わってはいくが、一つの時代に建てられた建築は、おおむね一つの様式によってコントロールされている。

●都市化に向けて、日本には二重の困難が課せられた。遅れてきた近代化という歴史的与件(様式の洪水)と、可燃の木造都市を不燃都市に作り変えなければならないという物理的与件の二つである。

●アメリカは「テーマパーク」というフェイクタウンを発明した。ロサンゼルスというもっとも粒子化が進展した都市のすぐ隣に、二十世紀を代表するテーマパーク、ディズニーランドが登場したのは決して偶然ではない。パリという連続的実体が奇跡的に残る場所の隣に計画されたユーロディズニーは、だからこそ失敗せざるをえなかったのだ。

●今や、都市再開発においては、プロジェクトがある規模を超える場合は、例外なくテーマパークの手法が導入される。アメリカ西海岸をベースとするテーマパーク的デザインの巨匠、ジョン・ジャーディが頻繁に起用されるのは、その分かりやすい例である。現実の都市のコピーであったはずのテーマパークを、いつの間にか、現実の都市が逆にコピーし始めているのである。

●プロジェクトが大きくなるほどデザインは陳腐化し、どこかで見たような嘘(フィクション)がただ大きな声で反復されるという、いたたまれないような状況が出現する。

●規制型とはヌケガケ型の別称にほかならない。

●規制型都市計画の欠陥は、都市に対する具体的でポジティブなヴィジョンを描けなかった点にある。それは現代の民主主義システム、行政システムが共有する欠陥でもある。規制はできても、夢を描けないのである。

●現代における都市計画とは結局のところリスクマネージメントである。今や日本のサラリーマン社会そのものが、自分の代わりにリスクを負ってくれる人がもっともありがたがられる社会。日本のゼネコンと代理店のリスク管理能力というのは、もう世界を圧するほど優れている。

●日本人の歴史観の薄さは致命的。アメリカでは、バブルの不動産王ともいわれたあのドナルド・トランプでさえ、トランプタワーの後は、古いビルの改装を手がけて歴史をうまく利用している。

●かつて「欧米」というように一体のもとしてとらえられていたアメリカとヨーロッパが、今は明らかに別々のスタンスを歩み始めている。アメリカは世界を、人々の生存のために闘争を繰り返すホッブズ的自然状態と見立て、一方ヨーロッパはそれをカント的な楽園と想定している。(『ネオコンの論理』(ロバート・ケーガン))

●二十世紀に登場した「郊外」という形式こそ、ヴァーチャルな都市の先駆者である。様々な歴史、時間が染み付いているはずの「土地」の上に、その場所とは無関係は「夢」を強引に構築する方法で作られた街が「郊外」と呼ばれたのである。

●「ユートピア(=夢)」そのものは二十世紀の発明ではないが、「夢」を鉄道という「線」によって束ね、つなぐ技を発見したしたのは二十世紀ならではの発明だ。地図の上に新たに描かれた鉄道という「線」に沿って一つの「夢物語」を構築し、そのストーリーに添って一つ一つ「夢」を配置していく。「夢」は単独ではみじめな妄想にすぎないが、束ねられ、つなげられることによって、妄想から現実らしきものへと進化する。私鉄沿線の「郊外」とは、そのようにして出現した現実らしき場所のことである。

●バロック性とは、小さな個人に、巨大な世界へと接続しえたという認識(錯覚)を与えるもののことである。バロック建築は、小さくて寂しい個人に、そのような一瞬の興奮を与えるために仕組まれた、巧妙な空間装置のことだ。そして、バロック的都市計画とは、その装置を都市スケールに拡大したもののことである。その頂点が、十九世紀半ば、ナポレオン三世の指導の下に実行されたパリ大改造である。

●バロックの原理は斜交性にある、としばしば指摘される。

●都市とは、そもそも相反し、矛盾するものが出会う場所だ。単一原理によって埋め尽くされた「村」と、都市との差異はそこにある。

●風俗店と老舗があるというのは、都市の条件。

●都市は失敗の集積にほかならないし、失敗を重ねた都市ほど偉大な都市ということができる。

●二十一世紀の都市というのは「金融資本」と「実態」の両方が作っているものですが、金融資本の肥大化が進んだ二十一世紀東京では、でき上がった都市が日本人の堅実なリアリティ感覚とかけ離れてしまった。

●街並みに対する感受性は教養の中でも一番上位にくるもの。

●二十一世紀の東京の眺めが映すものはグローバリズムという顔の見えない投資システム。投資はリターンを目論む。リターンを得るためになによりも優先されるのは「リスク管理」の手法だ。しかし、最も有効なリスク管理が歴史の継続性とクリエイティビティにほかならないことを根本のところで見逃しているのではないか。

Posted by simfarm at 20:52 | Comments (0)

2008年09月02日

『ハイエク 知識社会の自由主義』(池田信夫著/PHP新書)

『ハイエク 知識社会の自由主義』(池田信夫著/PHP新書)

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この本はハイエクの超入門本です。
2時間あれば読めちゃいますが、中身は濃かったです。

新自由主義の旗手として近年注目されているハイエクですが、手放しの自由ではダメでルールの設計が重要だと主張しています(「ルールの功利主義」)。

これ禿同です!


以下備忘録ですが、特に、

「社会に目的なんかない」

という一文は至言だと思いました。
当たり前といえば当たり前ではありますが、私のパーセプションが大きく変わった一言です。

<備忘録>

●「不完全な知識にもとづいて生まれ、つねに進化を続ける秩序が、あらゆる合理的な計画をしのぐ」

●歴史を自由の拡大する過程ととらえる進化論的な発想(カント、ヘーゲル、マルクスと同一)

●歴史を動かしたのは、一見「科学的」な新古典派経済学ではなく、観念的だが人々の情緒に訴えるマルクスとハイエクの理論だった

●マッハは物理法則は実験的事実を主観的に構成したフィクションにすぎないという懐疑主義をとなえた

●メンガー 限界効用 商品の価値は「それを失ったときの有用性と等しく決まる」

●経済理論の過去100年の重要な進歩は、ことごとく主観主義の一貫した適用による進歩であった

●科学的な「パラダイム」も一種の宗教のようなものであり、それを倒すのは実験でも事実でもなく、よりすぐれたパラダイムなのだ

●価格メカニズムの意味はロビンズが定義したような「希少な資源の効率的な配分」にはとどまらない。重要なのは、価格メカニズムで実現される「知識の経済性」、すなわち市場の参加者が正しい行動をとるために知るべき知識が計画経済よりもはるかに少なくてすむということである。価格メカニズムの優位性をもたらしているのは、新古典派的な資源配分の効率性ではなく、知識のコーディネーションの効率性なのである。

●現実に意志決定を行うとき、人々がもっている情報は、きわめて限られたものであり、驚くべきなのは、むしろこのようなわずかな情報によって社会秩序が保たれているという事実である。市場のコーディネーション機能を支えているのは、その基礎になっている財産権や習慣法(コモンロー)などのルールの体系なのである。

●断片的な感覚が集まってパターンを自発的に形成するという考え方は、ハイエクの遠い親戚であるヴィトゲンシュタインの後期の思想とも共通する

●社会に目的なんかない

●われわれの社会が最適だという保証もなければ、それに近づいているという保証もない。必要なのは、人々に間違える自由とそれを修正する自由を与えることによって、少しでもましな状態に保つことだけだ

●ハイエクを積極的な自由の概念を否定し、真の自由は古来からある「他人の恣意的な意思による強制に服従しない」という消極的な概念でしかありえないとする

●ヘーゲルは『歴史哲学』の有名な序文で、「世界の歴史とは、精神が本来の自己をしだいに正確に知っていく過程を叙述するものだ」としたうえで、「東洋人はひとりが自由であると知るだけであり、ギリシアとローマの世界は特定の人々が自由だと知り、われわれドイツ人はすべての人間が自由だと知っている」と述べた。「自由とは必然の実現にほかならない」。こうして自由と必然という対立概念は「弁証法的に統一」される。

●ハイエクの出発点は、「経験的な事実から、論理的に法則を帰納することはできない」という論理実証主義を否定するヒュームの懐疑主義だった。ハイエクは反合理主義者であり、未来的だった。

●ギリシア人は秩序を人為的な秩序(タクシス)と自然発生的な秩序(コスモス)とした。コスモスは言語や慣習など、自然の秩序ではないが、かといって人間が意図的につくった秩序でもない。これをハイエクは「自生的秩序」と呼んだ。

●アダム・スミス『道徳感情論』 他人に対する「共感」が秩序の基礎である。

●スミスは利己心を「第三者の目を意識しながら自己の利益を追求すること」と考えた。見えざる手とは、人々に共有されるこの「社会的自我」であり、神のメタファー(隠喩)だ。

●アロウの「不可能性定理」 首尾一貫した意思決定をしようと思うと、特定の人の決定を他の人より優先する「独裁制」をとるしかない

●「ルールの功利主義」 効用を最大化するという目的には意味がないが、人々の自由度を最大化するルールを設計することが、自由な社会を建設するためには重要なのである

●利己的な行動を「不道徳」と感じるメカニズムが、遺伝子に埋め込まれていると想定される

●人は、各個人の境界がはっきりしており、それぞれの領域内では自由に行動できる場合に限って、互いに衝突しないで自分の目的を追及できるのである

●伝統的には抑制すべき悪徳とされてきた利己心を積極的に認めたことが、近代西洋文明が他の文明圏に比べて飛躍的に大きな富を生み出す重要な原因だったことは間違いない

●キリスト教による自然の「合理化」 アジアでは人間を自然の一部と考え、自然の実りをわけてもらう営みとして農業をとらえていた。一方、キリスト教では人間世界の外側の征服すべき対象であった。

●ロバート・ボイル 「実験とは自然を拷問にかけて自白させることだ」

●人類史上最大の革命は、産業革命でも情報革命でもなく、一万年前に遊動生活から定住生活に移った「定住革命」だった

●実験経済学が示すのは、人々は自由な選択を好まず、できるかぎり今までのままでいようとするということだ

●人類の歴史の圧倒的大部分は、飢えとの闘いの連続であり、選択の自由などというものはなかった

●われわれは自由の過剰な世界で、何を選んでいいのかわからないのである。だから重要なのは「選択の自由」よりも、無意味な情報や有害な情報を排除して選択を幅を狭めることだ。

Posted by simfarm at 22:24 | Comments (0)

2008年08月31日

『日本という方法』(松岡正剛著/NHKブックス)

『日本という方法』(松岡正剛著/NHKブックス)

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これは“快著”ですね。

セイゴオ先生の、日本を「編集」という視点で切り取るという「編集」方法そのものに感服しました。

そして「これからの日本の指針はこれではないか?」というヒントを沢山もらうことができました。

今回も、私の読書備忘録を掲載しておきます(これでもかなりカットしてるのです)。

皆さんもぜひご一読して、自分なりの日本を「編集」してみてください。


<備忘録>

●日本は「一途で多様な国」

●西田幾多郎「絶対矛盾的自己同一」 矛盾や葛藤しあうものの組み合わせのなかに、それを弁証法のように止揚してしまうのではなく、それらを保持したまま自己同一性が生まれてきた

●日本は「主題の国」というよりも「方法の国」

●日本人は対比や対立があっても、その一軸だけを選択しないで、両方あるいはいくつかの特色をのこそうとする傾向をもっている

●日本文化史でたったひとつ決定的な“発明”を言えと問われたら、私は迷うことなく仮名が発明されたことをあげる

●林屋辰三郎「和様文化とは非対称の文化である」

●アワセ・キソイ・ソロエ・カサネ 日本文化の編集方法

●ウツロやウツリやウツロイは、そこに何もないと思えていたのに、何かが生じてくる。無常を感じることによって、かえってそこから何かが移り出てくる。無常感にはそういうクリエイティブな見方も含まれているはず。いいかえれば、「負」や「無」だと見えていたものから新たな価値が出てくる可能性があるということになる。どんなウツツの現実ももとはといえばウツロイのひとつの決着であって、そのウツロイの元をただせばそもそもがウツなるものだったということになる。ヴァーチャルな無のウツと、リアルな有のウツツ。ウツとウツツは正反対の意味をもちながら、それぞれリバースに行き交っている。そのウツとウツツを、ウツロイがつないでる。

●男が世の中で発揮している「はか」の成果に対して、女たちが「はかなし」だってそれなりの心や美をもてるのではないかという発見をした。よくよく考えれば、いったいこの世は「はかなくないもの」なんてないのではないかというふうになっていった。「はかなし」は人生の本質を発見した言葉だということになってきたのです。

●岡倉天心「あえて仕上げないで、想像力で補う」

●好みの文化に数寄をもちこんだ張本人は村田珠光 「和漢のさかいをまぎらかすこと肝要」 「さかい」にこだわらないで、これを融合させなさい、あるいは交ぜなさいという提案。日本文化の編集の歴史では特筆にあたいする提案。

●「中国モデル→天皇→徳川幕府」 ⇒ 明の崩壊 ⇒ 鎖国 ⇒ 中華思想の中軸を日本に(山鹿素行『中朝事実』:皇統の一貫性 →八紘一宇、大東和共栄圏、五族協和) ⇒ 国学へ

●江戸は何もかもが極端に向かって、仕込まれ、析出され、演出され、消費され、洗練されていた。そのうえ、その生産消費サイクルは現在よりよほどリーズナブルだった。

●江戸時代に「中国離れ」はなしとげられた。「アメリカ離れ」に苦労している今日の思想状況とは隔世の感がある。「中国離れ」に傾注した日本人も、「西洋離れ」はとことんヘタ。江戸時代の「中国離れ」は、どの学派もその思想家も「日本の面影」の正体を追求しようとしたものだった。

●本居宣長 規定しようとしたり、普遍性を求めようとしたり、分割思考したりすること自体をやめて、日本の奥に動いているらしい動向や趣向をそのまま取り出せないだろうかと、そのことを言い続けた。 「触れるなかれ、なお近寄れ」

●内村鑑三は日本を「小さな政府」にしたかった。「ボーダーランド・ステイト」(境界国)。このサイズは昭和中期、石橋湛山によってふたたび提唱されるが、その湛山を含めていまだに誰も本気ではとりくんでいない。

●清沢満之 二項同体 消極主義 ミニマル・ポシブル ⇔ 西洋の二項対立

●家永三郎 日本文化の特質は対立や相克を解消する不徹底にあるのだから、そこを明示するのは不可能に近い

●金子光晴 日本人はヨーロッパ人になることは不可能なのだから、それに拮抗するには日本の「紙と竹と土の文化の美しさ」を持ち出すべき

●上質の日本文化は、つねに「無」や「無常」とは表裏一体なものとなっている

●司馬遼太郎 「核心は書かない」「糸巻きのように周りのことを徹底して書く」、そして「最後に空虚なものが残る」という作法に徹していた

Posted by simfarm at 08:14 | Comments (0)

2008年08月27日

『17歳のための世界と日本の見方』(松岡正剛著)

『17歳のための世界と日本の見方』(松岡正剛著/春秋社)
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セイゴオ先生の2年前に出版された本です。
ひまつぶしのつもりでパラパラと眺め始めたら、意外に面白くて一気に読んでしまいました。

43歳でも十分にためになりました(笑)。
逆に、私たち大人こそ、改めてしっかりした「世界の見方」を身につけないといけませんね。


<備忘録>

●「ゾロアスター」のドイツ語名が「ツァラトゥストラ」

●道教「万物斉同」→ちがいを超えなさいという意味。何もかもが結局は似たり寄ったりのことなのだから、むしろ何もよけいなものを加えないほうがいい。「無」を重視する見方。

●空海「生まれ生まれ生まれ生まれて、生の初めに暗く、死に死に死に死んで、死の終わりに冥し」

●欧米の“契約社会”のそもそもの根源にあるのが、ユダヤのヤハウェとモーセの契約

●イザナギとイザナミの最初の子供が「ヒルコ(蛭子)」(水子)で、これが商売の神様のエビス(恵比寿)様

●聖徳太子「唯仏是真・世間虚仮」(世界は虚構であるというニヒリズム)

●仏教では浄土というのは東西南北それぞれにあるとされていた。東には薬師如来のいる瑠璃光浄土、西には阿弥陀如来のいる極楽浄土、北には弥勒菩薩の管理する浄土、南には釈迦如来の浄土が想定されていた。日本人は、阿弥陀如来のいる西方極楽浄土だけをやたらと好んだので、たくさんの阿弥陀堂とか阿弥陀像がつくられた。

●「冷えさび」 「すさび」がいっそう突き進んで、今なお、これほどの美学はないのではないかと思えるほどのコンセプト。冬ざれの風物をこそ美しいと感じるような美意識。

●パスカル 「人間の小さなことがらに対する敏感さと、大きなことがらに対する無意識は、奇妙な入れ替わりを示している」

●日本はいつも「漢」と「和」の両立に匹敵するような、「和」のアマテラスと「荒」のスサノオに象徴されるような、そういう二つの軸で動いてきた。縄文型/弥生型、公家型/武家型。都会型の「みやび」/田舎型の「ひなび」などたえず対照的に発展してきた。バロック的。

Posted by simfarm at 06:16 | Comments (0)

2008年08月02日

『あなたはナンバーワンになれる』(頼朝著)

『あなたはナンバーワンになれる 脱サラホストが明かす「もう一人の自分」の創り方』
(頼朝著/河出書房新社)

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こんな本まで読んでます(笑)。しかも5年前の本です。

どんな世界でも「No.1」になる人はスゴいんですが、既存のカテゴリーをぶち壊す人は“モノ”スゴい!

私は、ドラッカーとかよりも、この本のほうがインスパイアされました(ホントに)。

Posted by simfarm at 12:41 | Comments (0)

2008年08月01日

『大逆転の経営』(エイドリアン・J・スライウォツキー)

『大逆転の経営』(エイドリアン・J・スライウォツキー著/日本経済新聞出版社)

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『ザ・プロフィット』『伸びない市場で稼ぐ!』でおなじみのスライウォツキーの最新刊。

上記の2冊とも抜群に面白くて使えたので、今回も大変期待して読んだのですが、、、。

残念ながら、インスパイアされるものはほとんどありませんでした。

トヨタ、TSUTAYA、アップル、コーチ、サムソンなどの事例の解説は詳細で丁寧なので、読み物としては面白いのですが。

一応本書の中心フレームである「7つの戦略リスク」をご紹介しておきます。

 1.大プロジェクトの失敗
 2.顧客離れ
 3.業界の分岐点
 4.とても敵いそうにない競合企業の出現
 5.ブランド力の喪失
 6.業界全体の低迷
 7.成長の停滞

Posted by simfarm at 21:22 | Comments (0)

2008年07月31日

『マーケティング優良企業の条件』(嶋口ほか/日本経済新聞出版社)

『マーケティング優良企業の条件』(嶋口ほか/日本経済新聞出版社)

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嶋口充輝、石井淳蔵などの大御所の共著です。

うん、これはいい本です。

とにかく読めといいたい。

Posted by simfarm at 05:04 | Comments (0)

2008年07月27日

『イカの哲学』(中沢新一・波多野一郎著)

『イカの哲学』(中沢新一・波多野一郎著/集英社新書)

をご紹介します。

前半は、特攻隊の生き残りで、シベリアの強制収容所で4年収容された後、スタンフォード大学に留学した在野の哲学者波多野一郎氏が、1965年(私が生まれた年です)に少数部のみを出版した書『イカの哲学』が収録されています。(大きな文字でたった40ページ弱)

後半は、学生時代からこの作品に注目していた中沢新一が、この書からインスパイアされた持論を展開します。

要旨は、バタイユの生命論である「エロティシズム」と「イカの実存」を融合させることにより、超戦争に対応する超平和の構造を持った新たな平和学、エコロジー学が構築されなれけばならないと提唱しています。

これだけだと何のことかわからないですね(^-^;)
しかし、噛み砕くのは困難なので、少しでも興味を持たれた方はとにかく本書をお読みください。

新書で安いですし、2時間くらいでサクッと読めますが、一生手元に置いておく価値のある本だと思います。

Posted by simfarm at 08:45 | Comments (0)

2008年07月25日

『時間とは何か』(池内了著/講談社)

『時間とは何か』(池内了著/講談社)

という本を読みました。

興味深かったのが以下の内容。

●どんな動物も15億回脈を打ったら寿命を終える。
●その計算で行くと、野生の人間の本来の寿命は30年。
●いつも体温が気温よりも高く、いつでもさっと動ける状態にある恒温動物の代謝エネルギーは大きい。体温が気温より高いと熱エネルギーがいつも周囲に流れ出るので、エネルギーを常に補給していなければならない。いわば、動かそうとするたびにエンジンをかけるクルマ(変温動物)と、エンジンをふかしっぱなしですぐに動かせるクルマ(恒温動物)との違いと言える。


すなわち、環境負荷(エコ)を考えると、

○人間は30歳で死ぬべき(ムダに長生きしすぎ)
○というか、哺乳類は絶滅すべき(せいぜい爬虫類までにしておこうかなと地球は考えてたりしてね)

なんですな(^-^)。

Posted by simfarm at 06:00 | Comments (0)

2008年07月21日

現在のマーケティング課題

石井淳蔵流通科学大学学長によると、現在日本企業が抱えている経営上・マーケティング上の最大の課題は、クレイトン・クリステンセンの指摘する「過剰品質」という概念で説明できるといいます。

「過剰品質」とは、クリステンセンによると、「製品性能に対する消費者の期待は、時間経過とともに上昇するが、それほど急角度で変化するわけではないが、技術は消費者の期待を上回る急角度で加速し発展を続ける」ことです。

この「過剰品質」の問題を石井氏は二つの課題に分けます。

 一つ目が「創造的適応を図る」こと。
 二つ目が「リセット型マーケティングを克服する」こと。

また、「創造的適応を図る」ことは、以下の二つの下位課題にラダーダウンします。

  ①コマーシャル・イノベーション(製品と消費者の関係を変えること)
  ②ドメイン(事業)の定義

そして、「リセット型マーケティングを克服する」は、以下の二つ。

  ①ロバストな製品デザイン
  ②マーケティング・リテラシー

私も「現在吹いている最も強い風」は“過剰”の一言で表すことができると思っていますので、大変共感できました。

詳しくは、

『経済マイスターによる知力講座』(日本経済新聞社広告局編)

をどうぞ。

本当は藤井良広 上智大教授の「地球温暖化時代の新しい市場とは?」に期待して読み始めたのですが、こちらは見事肩すかしを食らってしまいました(^-^;)。
石井淳蔵氏の著書・論文は久しぶりに読みましたが、やっぱり切れ味がいいな〜♪

<Contents>

伊藤元重 東大教授 「グローバル経済を読み解く」
伊藤邦雄 一橋大教授 「企業価値とは何か?」
石井淳蔵 流通科学大学学長 「マーケティングから見た企業の現代的課題」
刈屋武昭 明治大学教授 「『日本人』が幸福になる強固で賢い小国へのすすめ」
橘木俊詔 同志社大教授 「日本のお金持ち研究」
藤井良広 上智大教授 「地球温暖化時代の新しい市場とは?」
瀬戸篤 小樽商科大教授 「アントレプレナーシップが経済を変える・動かす」

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2008年07月19日

『Hot Pepper ミラクルストーリー』

『Hot Pepper ミラクルストーリー』(平尾勇司著/東洋経済新報社)

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出版されてから時間がたってしまいましたが、おくればせながらご紹介します。

平尾さんはご存じ「Hot Pepper」を創業し、300億円事業に育てた伝説的な“経営者”です。
リクルート出身者の中でも、もっともリクルートDNAを持った人だと思います。

これまで出版された数多の「リクルート本」の中でも出色の本だと思いますので、ぜひご一読を。


<私が自分の読書録に引用した箇所>

別に新しいことはおっしゃっていませんが、「本当に実行した」人の言霊には力があります。


●『Hot Pepper』の大きな事業ビジョン→「クーポン文化を醸成しデフレスパイラルを止めて日本の街を元気にする」

●事業は物語である

●リーダーとは物語を語る人だ

●じつは「実行しない」ことこそ、事業が成功しない最大の原因である

●「リスクを負って勝負をかける」→事業がうまくいかない原因に「じつは勝負していない」ことが多い

●「見えないものを見に行くチカラ」が必要となる。それは構想力だ。それは机上の空論ではなく、見たこともない、経験したこともないことをあるかのごとく描き出す力だ。やってみないとわからないことを、あたかもやってみたかのように描き出す構想力が必要だ。

●誰でもできる仕事の仕組みをつくって、結果は「やったか?やらなかったか?」だけだ。「できるかできないか」ではなく「やるかやらないか」の差にしてしまうことだ。

●数字から絶対に逃げない組織をつくらなければならない。数字に意味と価値を見い出す組織をつくらなければならない。

●戦略はエッジの利いた短いフレーズで表現されなければならない

●「どうやるか?」にはやりたくなるしかけが必要なのだ。「〜ねばならない」「〜すべき」を「したい」に変える仕組みが必要だ。

●顧客接点の第一線が日々の活動のなかで創り出す競争優位性ほど盤石のものはない。競争優位性は日々の仕事のなかにビルトインされて、組織として繰り返される仕組みになっていなければ盤石とはならない。

●営業コンサルタントがセールスフォース理論とかを指導し、大企業ほどこの営業フォースの罠にはまって導入して失敗する。それは間違っている。シンプルと単純を履き違えている。顧客接点の価値はひとつひとつの熟練度も大切だが流れのほうがもっと大切なのだ。分業化すれば流れは切れて、モチベーションも切れる、そして、本来の目的が切れて、今度は切った業務間のコミュニケーションに莫大なエネルギーがかかる。だから、逆に非効率になる。

●実は顧客ニーズは多様化していない。つくろうと思えば、型は集約されていく。(たとえば)3つの型に絞ることが戦略である。「あってもいい」を捨てる勇気と覚悟が必要だ。

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2008年07月16日

良書とは?

良書って何でしょうか?

私にとって良書というのは、能動的思考や問題意識を刺激してくれるもの、助けてくれるものであって、心を満足させてくれるものではありません。

物語に涙したり、強制的に啓発されたりして、ああ面白かったという受動的、消費満足型の本はなるべく読むのはやめました。

何十時間も人生の大切な時間を奪ってしまうRPGと一緒です。

人生はとても短くて、やりたくてもできないことが圧倒的に多いという真実を知ったら、そんな本を読んでるヒマはありません。

Posted by simfarm at 11:53 | Comments (0)

2008年06月22日

6月21日 『最後の授業』

『最後の授業』(ランディ・パウシュ+ジェフリー・ザスロー著/ランダムハウス講談社)

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付属のDVDを妻と一緒に見て泣きました。

もちろんお一人でも結構ですが、なるべく皆さんご自身の大切な人と一緒にご覧になってください。

DVDをご覧になった後に本を読んでください。

こんなに価値のある2000円台の買い物は久しくありませんでした。

私は、、、

死に臨んでどんな覚悟ができるのでしょうか?
妻に何をしてあげられるのでしょうか?何をしてもらいたいのでしょうか?
子供に何を伝えたいのでしょうか?伝えられるのでしょうか?

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2008年04月24日

4月22日 『「温暖化」がカネになる』

最近は紹介ネタばっかりだな(^-^;)


『「温暖化」がカネになる』(北村慶著/PHP研究所)

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私は最近、環境問題、エコ関連の本を20冊くらいまとめ読みしましたが、ダントツでこの本がNo.1でした。

amazonのカスタマーレビューの評価も抜群です。
http://www.amazon.co.jp/「温暖化」がカネになる-北村-慶/dp/customer-reviews/4569695132/ref=dp_top_cm_cr_acr_txt?ie=UTF8&showViewpoints=1&customer-reviews.start=1&qid=1208961856&sr=1-1#customerReviews

題名や見てくれからは一見うさんくさい本に見えてしまうのが残念ですが、中味は大変な良書であり、環境問題の経済的なカラクリが白日のもとにさらされます。

ハーマン・E・デイリー『持続可能な発展の経済学』(これも必読です!)にも紹介されている「エントロピーの砂時計(通称「レーゲンの砂時計」)」も紹介されるなど、学術的なアプローチもなされており読み応え十分です。

環境問題の解決の本質は、帯のコピーの「金儲けの欲望が地球環境を守る。」に集約されており、人々の“善意”に頼るのではなく、人々の“儲けの欲望”や“損をしたくないという欲求”、そして“かっこ良くクレバーに見られたいという欲求”をうまく活かした形での地球環境の保全を図る、というのが正解なんでしょうね。


<今日の日月&猫さま達>

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2008年04月16日

4月16日 宿題本

『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(マックス・ヴェーバー著/岩波文庫)

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を読みました。

これは、私にとっては大学時代からの宿題だった本です。

一般教養課程で「社会科学概論」というコマを取っていて、その授業でメインで取り上げられていたのがマックス・ヴェーバーでした。
授業の中で教授から一押しですすめられたのがこの本で、当時速攻で購入して読み始めたのですが、途中で挫折して読破できなかったのです。

で、あれから20数年。今度こそと思って読み始めたのですが、やはりよくわからない(><)。
すぐに読むのを断念して、大塚久雄先生の詳細な解説を熟読してよしとしました(^-^)。

また、宿題はできませんでした・・・。


一方、同時に読んだ、

『共産党宣言』(マルクス エンゲルス 著/岩波文庫)

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は、軽く読破しました(エヘン。
だって、57ページしかないんですもの(^-^)

マルクスといえば、『資本論』も大学時代からの宿題本ですが、いつの日かまた、この最大の宿題にも挑戦したいと思います。


皆さんにも、人生の宿題になっているような本がありますか?

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2008年04月12日

4月11日 『社会学の名著30』

『社会学の名著30』(竹内洋著/ちくま新書)

発売されたばかりなのでアマゾンにもまだ画像がアップされてませんが、早々に読んだのでご紹介。

できるマーケター、リサーチャーにとっては、「社会学」は必修科目ではないでしょうか?
社会の風を感じるためのフレームが得られますし、社会学的好奇心はうわさ好き、ゴシップ好きと言い換えられますが、これこそマーケターやリサーチャーに必要とされる素養なのです。

また、社会学視点は、現実の暴露・体制の剥ぎ取り・相対化であり、下手をすると冷笑家をつくるだけの小難しい学問というイメージもありますが、

「ものごとはみかけどおりではない」

という現実のパーセプションの変容を迫る知的興奮をもたらしてくれます。


ただ、この学問はちととっつきづらいのですね。

なので、この本はとっても良いガイドになってくれると思います。

この本に紹介されている名著30冊は以下の通りです。
かくゆう私も7冊しか読んでいなかったので、興味を持った数冊を早速アマゾンで注文しました。
皆さんはいくつ読んでますか?


<名著30>

『社会学への招待』(ピーター・バーガー)
『脱常識の社会学』(ランドル・コリンズ)
『自殺論』(エミール・デュルケーム)
『社会学』(ゲオルク・ジンメル)
『共産党宣言』(カール・マルクス/フリードリッヒ・エンゲルス)
『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(マックス・ウェーバー)
『文明化の過程』(ノルベルト・エリアス)
『公共性の構造転換』(ユルゲン・ハーバーマス)
『監獄の誕生』(ミシェル・フーコー)
『大衆の反逆』(オルテガ・イ・ガセット)
『孤独な群集』(ディヴィッド・リースマン)
『メディア論』(マーシャル・マクルーハン)
『消費社会の神話と構造』(ジャン・ボードリヤール)
『保守主義的思考』(カール・マンハイム)
『想像の共同体』(ベネディクト・アンダーソン)
『ディスタンクシオン』(ピエール・ブルデュー)
『価値の社会学』(作田啓一)
『家族社会学論集』(姫岡勤)
『行為と演技』(アーヴィング・ゴッフマン)
『エスノメソドロジー』(ハロルド・ガーフィンケルほか)
『日常世界の構成』(ピーター・バーガー/トーマス・ルックマン)
『ハマータウンの野郎ども』(ポール・ウィルス)
『脱学校の社会』(イヴァン・イリイチ)
『家父長制と資本制』(上野千鶴子)
『近代とはいかなる時代か?』(アンソニー・ギデンス)
『管理される心』(アーリー・ホックシールド)
『孤独なボウリング』(ロバート・D・パットナム)
『危険社会』(ウルリヒ・ベック)
『歴史としての学問』(中山茂)
『リフレクシヴ・ソシオロジーへの招待』(ピエール・ブルデュー/ロイック・ヴォカン)

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2008年04月10日

4月8日 併読記

これといったネタもありませんので(<エッ?)、ただ今読んでいる本を紹介します。

松岡正剛氏も成毛真氏も併読しろ!とおっしゃってるので、最近は「超併読」モードです。

最近の主たる関心は、「エネルギー(環境問題)」「未来」「数学」ってとこです。

『幸福ということ[エネルギー社会工学の視点から]』(新宮秀夫著/NHKブックス)
『その数学が戦略を決める』(イアン・エアーズ著/文藝春秋)
『極端な未来』(ジェームズ・キャトンPh.D著/主婦の友社)
『加速するテクノロジー』(レイ・カーツワイル著/NHK出版)
『民主化するイノベーションの時代』(エリック・フォン・ヒッペル著/ファーストプレス)
『戦後日本経済史』(野口悠紀雄著/新潮選書)
『おもてなしの経済学』(中島聡著/アスキー新書)
『パラダイス鎖国』(海部美知著/アスキー新書)
『都市の魅力アップ』(鳴海邦硯著/学芸出版社)
『経済数学入門』(佐々木宏夫著/日本経済新聞社)
『忘れてしまった 高校数学を復習する本』(柳谷晃著/中経出版)
『イラスト・図解 はじめての行列とベクトル』(長谷川勝也著/技術評論社)
『思考の補助線』(茂木健一郎著/ちくま新書)
『裸でも生きる』(山口恵理子著/講談社)
『2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?』(ひろゆき著/扶桑社新書)
『東京奇譚集』(村上春樹著/新潮文庫)
『死者の書 身毒丸』(折口信夫著/中公文庫)

この中でも『思考の補助線』(茂木健一郎著/ちくま新書)が教養好きな人限定でおすすめ!
(茂木氏の著書としては大変難しい本です。楽しく読める類の本ではないのでご注意を)
私的には茂木氏の著書としては久々のヒットです!(やっぱりこの人すごいです)


「超併読」は、頭のいろいろな部分が刺激されて発想が活性化するし、気分転換も簡単にできて読書がタコツボ化しないし、いいことづくめなのですよ(^-^)

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2008年04月06日

4月6日 「Harvard Business Review」5月号

「Harvard Business Review」の5月号の特集は、

「「新しい優位」の論点」

です。

これ、私的には昨年7月号の「消費者理解のマーケティング」以来久々のヒットです。
最近の「最高戦略責任者」とか「リーダーシップ」とかの特集は私にはツマらなかったな~(><)。

今回は読み応え十分!
昨日定期購読で届いたのですが、一日では読み切れないほどの充実号です。
※ちなみに私が定期購読しているのは、「Harvard Business Review」の他に「一橋ビジネスレビュー」「Think!」「日経消費マイニング」の計4誌。「日経ビジネス」は日経テレコンでも記事が見れるのでやめちゃいました。

今号の特集は大きく2本立てになっていますが、いずれも面白いです!

<第一特集>

「2008年のパワー・コンセプト20+1」

・P2P経済の到来
・ジェネレーションYの仕事観
・医師に学ぶ思考プロセスの矯正法
・反対勢力を平和的に退ける法
・未来の取締役会の姿
・正直者が不正を働く理由
・究極のうそ発見器
・サイバー犯罪支援会社の暗躍
・市民発の公共サービス改革
・ゲーマーは理想の次世代人材
・ゲームで現実の問題を解決する
・メタバース
・感情表現豊かなアバターの登場
・メタデータが拓く新世界
・「口実の道具」としてのケータイ
・カメの甲羅に理想の都市を見る
・ロビー活動がCSRを強化する
・中国の新興都市が次なる成長源
・イスラム金融が世界を変える
・問題解決の正しい選択法

<第二特集>

「低炭素社会への挑戦」

・温室効果ガス問題に「戦略的」に対処する
・気候変動リスクに投資する企業に神は宿る
・温暖化の未来図
・ステークホルダーの環境感度は高まっている
・環境ディスクロジャーは報われる
・環境政策議論に参加せよ
・排出権取引では二酸化炭素は減らない
・炭素社会ではバランスシートはこう変わる
・資本市場は健全な環境銘柄を欲している
・南米企業マシーサの環境戦略
・環境経営は社員の自主的行動から始まる
・炭素社会のビジネス・リーダーシップ

今号は買って損がないでしょう(^-^)。


<今日の五兄弟(一人&四匹)>

ケン(長男)
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【D300+AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED】

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4月5日 『高校生のための哲学入門』

独立して2年8ヶ月が経過し、3回目の桜の季節を迎えました。

おかげさまで、お客様からの評価もまあまあですし、会社もずっと黒字、自身の報酬もそこそこ高く設定できるようになりました。

とはいえ、、、

どうも最近、「私はなりたい私になれているのか?」という問いが頭から離れません。

多分、答えは分かっていて、それは「NO」なのです。

ということで、年度末仕事が一段落した今月は、自分を見つめ直す月にしようと一念発起しました。

で、ふと何かに引かれて書店で手に取ってしまったのが、この本。

『高校生のための哲学入門』(長谷川宏著/ちくま新書)(笑)

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在野の哲学者が、青春ただ中の若者向けに哲学的な思考の仕方を紹介した本です。


「コギト・エルゴ・スム」(われ思う、ゆえに、われ在り)

自分とはなにか。
自分を形づくるものとして、自分の容姿、自分の体型、運動能力、好き嫌い、性格、才能、感情、欲望など、自分が自分に向き合うとは、何よりもまず、そうした多様な要素を自分のものとして自覚することが大事だと著者は言います。

この書は、40代の私が「コギト・エルゴ・スム」を実践するためのカンフル剤になってくれそうです。

私のように、年齢を問わず青春ただ中にあると自覚している方々におすすめします(^-^)。

Posted by simfarm at 01:08 | Comments (0)

2008年04月04日

4月3日 『サブプライム問題とは何か』

米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長がアメリカ経済がリセッション=景気後退に陥る可能性に初めて公式に言及したようですね。

TBS「FRB議長、景気後退に初めて言及」
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3819412.html

その最大の要因が、ご存じ「サブプライム問題」です。

この大問題を現時点で一旦ちゃんと理解しておきたい人には、ぜひおすすめしたい本があります。

『サブプライム問題とは何か』(春山昇華著/宝島社新書)

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素人でもとてもわかりやすく書かれていて、文章そのものもうまく、amazonをみると、数多ある「サブプライム問題」の書籍の中で最も売れていますし、カスタマーレビューの評価も上々です(ほとんどが5つ星)。

私は普通の人よりはわかっているつもりでおりましたが、それでもいろいろと新しい事実やからくりを知ることができました。


<今日の五兄弟(一人&四匹)>

日月が初めて電車に乗りました。

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行った先は後楽園のラクーア。
私たち親は、交代で「一蘭」のラーメンを食べました。
流石にいつもうまいっす(^-^)。

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独立すると平日でも気兼ねなくこういう行動ができるのが特権ですね。

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2008年03月30日

3月29日 ほんとうの環境問題』

『ほんとうの環境問題』(池田清彦 養老孟司著/新潮社)

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環境関連の書籍をまとめ読みしていますが、この本は大いに共感しました。

今の世の中、環境ファシズムだな〜と思います。
環境やエコに関心がないヒトは、ヒトに非ずといった価値観すらはびこっています。
特に「地球温暖化防止」「CO2削減」は急速に生活者の意識の中に刷り込まれておりますが、果たして本当にそれが問題なのかは実は怪しいものがあります。

私のクライアントでも「京都議定書のCO2マイナス6%」を国から押し付けられている企業が数社ありますが、私から見るとこれは相当質の悪い暴力としか思えません。
いいかっこしいからこの目標を飲んでしまって、国民に強制している「国」はもちろん、強制されて唯々諾々と実行する企業も、はっきり言って「アホ」としか思えないのですが、池田氏も養老氏も全く同じことを言ってくれています。

環境問題で誰が儲けているのか? をしっかりと考えたいものです。


<今日の五兄弟(一人&四匹)>

日月(三女)
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2008年03月23日

3月22日 「既存住宅 再考」

リクルート住宅総研が今年度総力をあげて制作した、

「既存住宅流通活性化プロジェクト〜既存住宅 再考」

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という報告書冊子が出来ました(パチパチパチパチパチ!。

着想から約1年4ヶ月。
総予算はかなり莫大w。

内容は、

・オリジナルで実施した調査(分析)4本 (うち1本は日米同時実施調査)
・カリフォルニア視察(私は娘の誕生が重なり行けなかった・涙)
・北海道への取材
・リノベーション事業者8社へのインタビュー
・不動産専門ライターによる、日本の既存住宅流通市場の現状と課題の整理
・住宅総研の所長はじめ全研究員の論文掲載

など、モリモリ沢山のカラー271ページの報告書です。

弊社(私)は、プロジェクトマネジメント補佐と、調査業務一式、製本の段取り(少し)を受け持ちました。
弊社にとっては、この仕事が今年度最大の売り上げの仕事になりました。

本当は先月末に出来上がっていたのですが、3/19(水)のマスコミへの発表を待って、やっとお披露目と相成りました。

圧巻はプロジェクトリーダーであるSM氏による「調査解説編」(18ページ)と「まとめと提言」(12ページ)。
国策のど真ん中である「既存住宅流通活性化」というテーマに対し、真っ向からナタを振り下ろした勇気に大拍手です。

話によると、国交省や不動産の業界団体に報告したところ、大変好評だったとのこと。
よかったですわ。

この報告書は、国交省や業界団体の他、不動産会社のマネジメントクラス、リクルート住宅カンパニー内部でもグループマネジャークラスにしか流通しませんので、このブログの読者の方の目に触れる機会はほとんどないと思いますが、表紙のオリジナル写真や渋い題字のロゴをご覧いただければ、この報告書はまさに「細部に神が宿った」プロダクトであることが理解いただけると思います(楽人舎さん、ありがとうごさいました)。


来期の住宅総研の研究テーマは、いよいよ「エコ」を取り上げてもらえそう。
ロンドン〜スウェーデン視察も入れちゃうよー!てな感じで、今からワクワクしております(^-^)。


<今日の五兄弟(一人&四匹)>

チビ(次男)
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3月20日 『ウェブ時代 5つの定理』

乱読モードは相変わらずですが、また良い本に出会ったのでご紹介します。

私の読書は、「本気・熟読モード」と「ひまつぶし飛ばし読みモード」に大別できますが、この本は最初「ひまつぶし飛ばし読みモード」で読み始めたのが「本気・熟読モード」になってしまったという良書です。

『ウェブ時代 5つの定理』(梅田望夫著/文藝春秋)

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そもそも梅田望夫氏は少し食傷気味になってきたので、購入するのもどうしようかと思ったんですが、これまでの著書を全部読んでいるので、ほぼ惰性で購入しました。
※ちなみに、茂木健一郎氏の著書はデビューから結構頑張って読み続けたんですが、最近は超ワンパターンになっちゃったので、もう買うのをやめました。

この本、梅田氏の本の中でも最も“永久保存版”といえる本だといえます。
一家に一冊レベルと言ってもいいでしょう。

梅田氏が感銘を受けたシリコンバレーのビジョナリー達の言葉を集めた本なのですが、その一つ一つが本当にすばらしい言葉なのです。

ちなみに私がお熱のスティーブ・ジョブズの言葉は最多の14個も掲載されています(^-^)。

そのスティーブ・ジョブズの言葉はさて置いておいて、私が感銘を受けた言葉を列挙します。


「エデンの園でイヴがかじったリンゴは、人類に「知の味」を教え、
 人類と世界の関係を決定的に変えてしまった。
 これが第一のリンゴ。
 二つ目がニュートンのリンゴ。
 そして今アップルは、
 第三のリンゴ、すなわちパーソナル・コンピュータを、
 私たちの机の上に置いたのである。
 それによって、文化の革命が起こる。」
 − ジャン=ルイ・ガゼー(アップル元副社長)

これは、すごいスケール感ですよね。
これくらいの気概を持った仕事をしたいものだと、素直に思いました。


「インターネットは、人間の最も基本的な要求、
 つまり知識欲と、コミュニケーションをはかること、
 そして帰属意識を満たすことを助けるものである」

「インターネットが負けるほうに賭けるのは愚かだ。なぜならそれは、
 人間の創意工夫と創造性の敗北に賭けることだから。」
 − エリック・シュミット(グーグルCEO)

この一言だけでも、さすがにグーグルのCEOとして招聘されただけのことはあるなあと思いました。
特にインターネットの定義は今後これ以上のものは必要ないでしょう。


「政治的になるな、データを使え。」
 − メリッサ・メイヤー(グーグル副社長♀)

「私たちが成功してきた理由は、嵐のような環境変化の中でも、
 ただひたすら顧客にフォーカスしようとしてきたからだ。」
 − ジェフ・ベゾス(グーグル創業者)

このグーグル経営者達の言葉は、リサーチャーにとっては非常に心強い言葉です。
一周以上進んでいると言われるグーグルにおいても、データや顧客へのフォーカスが重要だと言っているのです。最近自信喪失気味の「リサーチ」をエンパワーメントしてくれてますね(^-^)。


で、中でも最も感銘を受けた言葉は、

「自分がやらない限りは世に起こらないことをやる」
 − ビル・ジョイ(JAVAなどを開発した天才技術者)

です。

<今日の五兄弟(一人&四匹)>

抱き合って眠るチビ(次男)とユキ(長女)
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2008年03月20日

3月18日 キャッチャー・イン・ザ・ライ

最近は超乱読モードになっております。

その中には、仕事のための読書の他に、若かりし頃に読んで感動したものや、ふにゃふにゃ感が残ったような小説の再読も入っています。

ふにゃふにゃ感の筆頭といえば、そう、サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』ですね(これは同意が得られることでしょう)。

この小説は大学時代に読んだのですが、現役合格慶応ボーイの鼻持ちならない野郎だった私には落ちこぼれのホールデンの気持ちは全くといってわかりませんでした。
こいつ頭悪すぎという感想しか持てず、何で皆んながありがたがっているのか理解不能でした。
唯一影響があったことといえば、ホールデンの一番好きな酒が「フローズン・ダイキリ」だと書かれていたので、読み終わったその日に「フローズン・ダイキリ」を飲んだということしか覚えていません(笑)。

そんなわけで、あのふにゃふにゃ感を再確認するため、村上春樹訳版の

『キャッチャー・イン・ザ・ライ』(J.D.サリンジャー/村上春樹訳/白水社)

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を読んでみました。

で、20年ぶりに読んでみても、あいかわらず頭悪すぎなホールデンではありましたが、やや読後感が違っているように思えました。

昔は感じられなかった「救い」や清涼感を改めて感じた読後感でした。
私は20年前から確かに何かが変わっているのですね。


また、昔読んで面白かった小説では、

『ヨッパ谷への降下』(筒井康隆/新潮文庫)

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を再読しました。

その中にある短編「九死虫」の一節に思わず感銘を受けました。

「しかしこれだけは知っておいてもらいたい。われわれ動物の行動に意義があるかどうかは、それによってその動物が生き残れるかどうかが判断の基準になるのだ。その動物が生き残るための邪魔になり、生き残る助けにならぬような行動はすべて、謝った行動なのだ。つまりは政治的、経済的、科学的、文化的なほとんどの行動は誤りであるということだ。われわれはこのことを、二万年前に絶滅した人間によって教えられてきたのではなかったか。彼らが絶滅したのはまさにこれが原因であった。つまり彼らは種として生き残ることよりも、精神的充足に重きを置くという動物としての決定的誤りを犯したのである。
〜中略〜
宗教が、学問が、文化が、おれたちの死を取り消してくれるだろうか。それらの頂点をきわめたとして、おれたちが神になれるとでもいうのか。そんなものはすべて、死ねばなくなってしまう。まず死の恐ろしさをよく認識し、死なないようにし、どんな思想も文化も、すべてはそこから出発しなければならない。」

いま最も注目されている学問である進化心理学のベースとなっているのは、まさにこの「生き残ること」なんです。

この「九死虫」が書かれたのは1990年6月。

筒井康隆恐るべしですね。


読みたい本をジャンルを問わずamazonで買いまくりましたので、↓こんなふうに開梱もしないamazonの箱が積み上がっている状況です(ハハハ。

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ああ、読書って楽しいけど、苦しいんですよね(^-^;)


<今日の五兄弟(一人&四匹)>

ナツ(次女)
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2008年03月15日

3月14日 『売れる21の法則』

『売れる21の法則』(村山涼一著/中経出版)
http://www.amazon.co.jp/売れる21の法則-村山-涼一/dp/4806129569/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1205515138&sr=1-1

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村山さんの著書の中では“軽め”の本でありますが、とても使い勝手の良い本です。
基本的にビギナー向けですが、プロにもちょっとした「パクり」(言葉は悪いですがw)に最適です。

書名に負けずに売れているようで、発売10日で重版がかかったそうです(これはスゴい)。
この間は日経に新聞広告が出たそうですね(私は日経本紙はとってませんので見ていませんが)。

売れる21の法則は以下の通りですが、さてこの本が売れたのはどんな法則が働いたんでしょうか?

<売れる21の法則>

第1の法則 模倣の法則
第2の法則 未完成の法則
第3の法則 第一印象の法則
第4の法則 物語の法則
第5の法則 新カテゴリーの法則
第6の法則 置換の法則
第7の法則 付属の法則
第8の法則 問題解決の法則
第9の法則 手間はぶきの法則
第10の法則 集中の法則
第11の法則 地域の法則
第12の法則 潜在欲求の法則
第13の法則 シミュレーションの法則
第14の法則 常連の法則
第15の法則 拡張の法則
第16の法則 法改正の法則
第17の法則 意味づけの法則
第18の法則 可視化の法則
第19の法則 コンテンツ転用の法則
第20の法則 非常識の法則
第21の法則 AISASの法則

一般の方々にとっては「第8の法則 問題解決の法則」が働いたのかな?
私にとっては「第9の法則 手間はぶきの法則」の方が大きいですね。

どうやら村山フリークの人達にはあまり受けが良くないみたいですが、私には逆に「マニアトラップ」を脱した任天堂のWiiを連想させます。
この「22」番目の法則こそが、この本が「売れた」最も大きな法則なのかもしれません。

手元に一冊置いておくと、とても便利ですよ!


<今日の五兄弟(一人&四匹)>

日月(三女)
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2008年03月14日

3月13日 『過剰と破壊の経済学』

『過剰と破壊の経済学 「ムーアの法則」で何が変わるのか?』(小島信夫著/アスキー新書)

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を読みました。

梅田望夫の『ウェブ進化論』で有名になった「ムーアの法則」(半導体の集積度は18ヶ月で2倍になる)をもとにコンピュータと情報技術の世界の未来を展望した良書です。

特に面白かったのは次の2点。
いずれも、私にはものすごい実感値があります(特に2)は禿同です)。

1)現代のボトルネック

半導体の性能が予想を超えるスピードで上がり、性能が過剰になるということは、逆にいうと他の資源すべてが相対的に稀少になり、価格が相対的に上がる。その中でも最も稀少なものがボトルネックであり、それを握るものが業界全体を動かす。現在もそして未来も最も稀少なものは「人間の時間」である。
ハーバート・サイモン:
「情報の豊かさは、それが消費するものの稀少性を意味する。情報が消費するものは、かなり明白である。それは情報を受け取る人の関心を消費するのである。したがって情報の豊かさは関心の稀少性を作り出し、それを消費する膨大な時間に対して関心を効率的に配分する必要が生じる。」


2)失敗するプロジェクトの条件、成功するプロジェクトの条件

<失敗するプロジェクトの条件>
①最先端の技術を使い、これまで不可能だった新しい機能を実現する
②数百の企業の参加するコンソーシアムによって標準化が進められる
③政府が「研究会」や「推進協議会」をつくり、補助金を出す
④メディアが派手に取り上げ、「2010年には市場が**兆円になる」などと予測する

<成功するプロジェクトの条件>
①要素技術はありふれたもので、サービスもすでにあるがうまくいっていない
②独立系の企業がオーナーの思い込みで開発し、いきなり商用化する
③一企業の事業なので、政府は関心を持たない
④最初はほとんど話題にならないので市場を独占し、事実上の標準となる

なるほど、グーグル、iPod、スカイプなんてのは後者のプロジェクトの代表格であって、全然「スターデビュー」してないんですよね。


いかがですか?面白そうな本でしょ(^-^)。

Posted by simfarm at 10:25 | Comments (0)

2008年03月09日

3月8日 『本は10冊同時に読め!』

『本は10冊同時に読め!』(成毛眞著/三笠書房)を読みました。
10冊同時じゃなかったですけど(笑)。

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成毛氏の他の著書もそうですが、私にとってはとても痛快な本でとても楽しめました。1時間で読めちゃうし。

この本、いろいろな意味でキツ〜い本です。
そもそもサブキャッチが「本を読まない人はサルである!」ですから(^-^;)。

いくつか痛快な箇所をピックアップしますと、、、

「高所得階級の人間になるか、低所得階級の人間になるか−その境目となるのは本を読んでいるか、読んでいないかの違いである。そもそも二極化の話も、本を読んでいない人にとっては「はあ?何のこと?」という話だろう。そういう人から「庶民」以下の暮らしへと転落していくのだ。」

「たとえば「趣味は読書。最近読んだ本はハリポタ、セカチュー」という人は、救いようのない低俗な人である。また、ビジネスハウツー書ばかり読む人も、私から見れば信じられない人種である。まず『金持ち父さん 貧乏父さん』系の本を読んでいる人、こうすれば儲かるという投資本や、年収1500万円を稼げるといった本を読んでいる人は、間違いなく「庶民」のまま終わるだろう。できる社員系の本を読んでいる人も同じである。なぜならば、他人のノウハウをマネしているかぎり、その他大勢から抜け出すことなどできないからだ。・・・中略・・・よく「自分は給料も安いし、チャンスに恵まれないから庶民なんだ」という人がいるが、逆なのだ。「庶民的」なことしかしないから「庶民」になり、「庶民的」な生活しか送れなくなるのである。」

「実際、世界中の経営者や一流ビジネスマン、官僚、政治家は、みんな本をたくさん読んでいる。もちろん、ビル・ゲイツもものすごい量の本を読んでいるから、世界一の大富豪にまでのぼりつめられたのだ。」

「本を読んでいない人間の話題は、スポーツの話、テレビの話、飲み屋の話、女性の話、金儲けの話が中心である。ユーモアがわからず、駄洒落をいえばいいと思っているような低俗な輩である。「社長、最近ゴルフはどうですか?」などと相手のご機嫌をうかがうのは上手でも、パレスチナ問題について聞かれたら何も答えられないのだ。」

「本を読む・読まないという行為は、その人の品格に関わってくるのではないかと思う。品格に読書は関係ないと否定する人もいるかもしれない。だが、本を読んでいる人間が車の中に幼児を置いたままパチンコに興じるとは思えないし、電車の中で平気で化粧をするとも考えづらい。なぜなら、本を読むには想像力は必要だからだ。」

「本を読まないような人との会話は、本当に苦痛だ。対して、本をよく読む人というのは、地位や年齢にかかわらずどこかに品性があり、含蓄のある話をするので一緒にいても面白い。」

「どんなに偉い人でも、本を読まない人間を尊敬する必要はない。人によく似た生き物、サルに近いんじゃないかと思えばいいだろう。」

「もし自分の周りに本嫌いの人間がいるのなら、そういう人とはつき合わないほうがいい。足を引っ張るだけで、自分の人生に何ももたらしてくれないからである。」

私は禿同でしたが、皆さんは共感できますか?


<今日の五兄弟(一人&四匹)>

チビ(次男)
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【D300+AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED】

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2007年04月24日

『ソーシャル・ウェブ入門』(滑川海彦著/技術評論社)

『ソーシャル・ウェブ入門』(滑川海彦著/技術評論社)

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これは、ある意味「決定版」ですね。
どちらかというと「こちら側」にいて、何をしていいか取り残され気味の人には「救済の書」といっていいでしょう。
「あちら側」に渡るために手取り足取り指南してくれる本です。

・Google検索
・Gmail
・Google Maps
・Google カレンダー
・Google Docs & Spreadsheets
・Newsing
・はてなブックマーク
・YouTube
・mixi
・ブログ
・RSSフィードリーダー

の中で、常時利用していないサービスが2~3ある人は、「あちら側」の人とはとても言えないので、この本を読むことをおすすめします。


余談ですが、私は、「こちら側」と「あちら側」を分けるものの一つとして、「ディレクトリ」好きか「タグ」好きかという基準があると思います。
もちろん前者が「こちら側」、後者が「あちら側」。
「情報は多義的(多重人格)である」という本質がわかっている人は、絶対に「タグ」好きなはずで、これは単なるネットリテラシーの問題に留まらず、仕事人としてのスタンスにも大きくかかわってきます。
前者は整理好きの「反射」人間、後者は発想好きな「創発」人間。
世の中には圧倒的に「ディレクトリ」好きな「反射」人間が多いんですよね。

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2007年04月22日

『人はなぜ太るのか』(岡田正彦/岩波新書)

『人はなぜ太るのか』(岡田正彦/岩波新書)

人はなぜ太るのか.jpg

私は体重が90kgを超え、BMIが30になってしまいました。まじめにヤバイです。
さて困ったゾと思っていたところ、書店に行って目に留まったのがこの本でした。
いわば岩波新書の「ダイエット本」です。とっても信頼度高いでしょ(^-^)。
実際「肥満」をとことん科学していて、ペダンチックな私には相当納得度は高かったですよ。

「パン食ってちゃダメじゃん!」(グリセミック指数が高い)とか、
「普通の腹筋は意味無いんじゃん!」とか、目から鱗がボロボロ落ちました。

で、岡田氏のおすすめメニューは(ネタバレスマソ)、

●食事処方箋
  → 炭水化物を控える

●運動処方箋
  → ウォーキング 3kmを30分で歩く、週4回
  → 仰向けで下肢を上げる 10~20回 毎日
  → 腕立て伏せ 10~20回 毎日

ということでしたので、早速私も始めることにしました。

ちなみに徒歩コースは、小石川植物園を1周するコースにしました。


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Posted by simfarm at 01:13 | Comments (0)

2007年04月16日

『クチコミの技術』

『クチコミの技術』(コグレマサト+いしたにまさき共著/日経BP社)

クチコミの技術3.jpg

最近、「コチコミ」系、「CGMマーケティング」系の本がた~くさん出版されていて食傷気味ですね。
私は仕事柄、この手の本はほとんど購入してパラパラとは見ておりますが、あまり大した発見はないというのが実情です。

そんな中でも、とりあえず一冊というなら、この『クチコミの技術』をおすすめします。
私もいちオーナーとしていつも見ている「GR BLOG」や、私もまんまとハマってしまった「時をかける少女(劇場版アニメーション)」「若冲ブーム」「極魔界村」の口コミ事例が紹介されていたり、クチコミの効果測定ツールが網羅されていたりなど、結構役に立つ内容も多くて面白かったですよ。

Posted by simfarm at 13:08 | Comments (1)

2007年03月15日

動物化するポストモダン2

昨日も紹介した
『ゲーム的リアリズムの誕生~動物化するポストモダン2』(東浩紀著/講談社)
をまた取り上げます。

動ポモ2.jpg

リードは「前著より5年半 物語の行方がここにある!!」

弊社社外取締役である村山涼一氏が現在「ナラティブ・マーケティング」を提唱していますが、その符号の一致が大変興味深いです。

「ナラティブ消費とマーケティング」SBC ビジネス+IT
http://www.sbbit.jp/article/4555/


私は別に東浩紀や講談社の回し者ではありませんが、amazonでの予約が始まり、東氏のブログで著者コメントが発表されましたので、再度紹介しました(それくらい私的には出版が楽しみ)。

<amzonの予約ページ>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4061498835/hirokiazumaco-22

<「著者コメント」引用>

こんにちは。

 こちらでははじめまして。著者の東浩紀です。

 さて、この『ゲーム的リアリズムの誕生』は、『動物化するポストモダン』の続編ですが、それを読んでいないひとでも読めるように書かれた書物です。とりあえずは、ライトノベルやノベル系のアドベンチャーゲームに関心のあるひとに読んでいただきたいと思っていますが、それらの作品に触れたことがなくても、現代のエンターテインメントに興味がある読者一般に広く読まれる内容になっていると思います。

 本書の主題は、ひとことで言えば、「ポストモダン、すなわち物語の力が衰えた世界において、それでも物語を語ろうとすればどうなるか」というものです。この課題は、現代の多くの作家が直面するはずのものですが、僕はこの本では、いくつかの理由からライトノベルと美少女ゲームを分析対象として選びました。状況や作品については解説が入るので、特別の予備知識は必要ありません。

 議論は2章に分かれており、第1章では、新城カズマの入門書を用いてライトノベルについて最低限の知識を確認したうえで、評論家の大塚英志の議論、とりわけ『キャラクター小説の作り方』を批判的に読みながら、「まんが・アニメ的リアリズム」「ゲーム的リアリズム」の理論が探究されます。第2章では、その結果を受けて、『All You Need Is Kill』『ONE』『Ever17』『ひぐらしのなく頃に』『九十九十九』が分析されます。参照対象の中心はライトノベルと美少女ゲームですが、『九十九十九』が挙がっていることからわかるように、一般小説へも言及しています。第1章では、伝統的な文芸評論への批判も記されています。付録として、清涼院流水論と『AIR』論を収録しています。『ファウスト』連載時の原稿は完全に書きかえられており、書き下ろしと言って差し支えありません。

 僕は1993年に批評家としてデビューしており、振り返るとすでに15年近いキャリアをもっています。この『ゲーム的リアリズムの誕生』には、その長さを受けて、さまざまな文脈が流れ込んでいます。この本は、ある見方で見れば、僕がはじめて記した本格的な作品批評であり、他方では、僕がここ数年、あまり書籍にならないかたちで行ってきたライトノベル・ブームへの関与の総決算でもあります。またそれは、前著と同じく、社会学的な文脈でも読めるでしょう。むろん、近年のオタクブーム、コンテンツブームの流れのなかにもあります。

 けれども、僕個人の文脈を言えば、これは、僕がはじめて、最初から最後までを体系的に構成し、その意図がなんとか実現できた本です。

 僕のむかしからの読者は知っているかもしれませんが、僕は学生のころ、ジャック・デリダという哲学者の研究をしていました。デリダの思想には「脱構築」というキーワードがあり、それは要は、真の思想は体系化できないという教えです。そのせいもあって、僕はいわば、体系的な書籍を書くことができない体質になっていました。本書は、その体質を改善するために記した本でもあります。したがって、本書は、内容に読者のみなさんが同意されるかどうかは横に措いて、とりあえずは僕のいままでの本のなかで、もっとも読みやすく、また論理的な著作になっていると思います。

 「批評」というと、聞き慣れないタームを並べ立て、単なる印象論を難しく理論武装するだけの困った言説というイメージがあるかもしれません。実際に、世の中には、そのように非難されても仕方がない「批評」が数多くあります。批評家のひとりとして、そのような状況を恥じるとともに、なんとかオルタナティブを差し出すことができないか、と考えて記したのがこの本です。

 多くの読者に読んでもらいたいと思います。よろしくお願いします。

<引用終了>

Posted by simfarm at 03:53 | Comments (77)

2007年03月14日

『ゲーム的リアリズムの誕生』

『ゲーム的リアリズムの誕生』(東浩紀著/講談社)

動ポモ2.jpg

『動物化するポストモダン』(東浩紀著/講談社)の続編です。略して「動ポモ2」。
上の写真で黄色が『ゲーム的リアリズムの誕生』で、青が『動物化するポストモダン』。

今週末には店頭に並ぶそうですよ。東浩紀ファンにとっては、とても楽しみですね。

Posted by simfarm at 10:32 | Comments (0)

2006年10月11日

『意識の探求 神経科学からのアプローチ』

『意識の探求 神経科学からのアプローチ』(クリストフ・コッホ/岩波書店)

意識の探求.jpg

現時点での脳や意識に関する「決定版」といえます。
上下巻で6,300円はちと高いですが、それだけの価値は十分にあります。
時間がない方は、各章のまとめだけ読むだけでもいいでしょう。

なお、下記アドレスから、
・第1章「意識研究入門」
・第20章「インタヴュー」
・フランシス・クリックの序文
・著者前書き
・訳者前書き
がPDFファイルとしてダウンロードできます。

http://emotion.caltech.edu/~naotsu/Site/Translation.html

Posted by simfarm at 07:49 | Comments (0)

2006年10月09日

「構造主義」のおすすめ本

あることに興味を持ったら、その分野の本を10冊くらい読み倒すといい。あっという間に専門家はだしにはなれます(もちろん、ホンモノの専門家とは深くて広いミゾがあるのですが・・・)。

最近「構造主義」について、10冊ほど読み倒しました。
相当わかってきましたよ、「構造主義」(^-^)。
一番のおすすめ本は、意外なことに図解本。
難解なものは図解しろというのは村山さんがいつも言っていることですが、本当にこの図解本は助かりました。でも、それはいろいろな本で知識を詰め込んだ後だったから良かったのかもしれない。最初からこれを手に取っても理解は薄かったかな?

『図解雑学 構造主義』(小野功生監修/ナツメ社)
構造主義.jpg

Posted by simfarm at 22:15 | Comments (0)

2006年09月10日

『ライフスタイルマーケティング』

ライフスタイル・マーケ.jpg

『ライフスタイルマーケティング』(ODSマーケティングコンサルティングチーム著)

何だかムカつく本#。
ODSのライフスタイル分類(ODS-Lifestyle Indicator)は出自もしっかりしており(ヤンケロビッチだし)、1975年からの歴史もありますが、これはあくまで一つのライフタイル分類軸であって、「ライフスタイルマーケティング」のカテゴリーネームがつけられるようなシロモノじゃありません。ものすごい僭越な感じ。世界的にはVALS(ジャパンVALS)の方がメジャーですしね。はっきり言って、この本は単なる「ODS-Lifestyle Indicator」の販促本なので、「ODS-Lifestyle Indicator」を導入する予定のある企業以外は、全く読む必要ないです。

Posted by simfarm at 07:56 | Comments (0)

2006年09月01日

『改訂シンプルマーケティング』

私が歴代で最もパクッたコンテンツが多いマーケティング本が、出版社が変わって復刊していました。
『改訂シンプルマーケティング』(森行生/ソフトバンククリエイティブ)
シンプル.jpg
5~6年前、マーケターやリサーチャーは相当な人が読んだ本じゃないかな?R社では私が最初に読んで、薦めまくって、結局50人以上に買わせたと思います(アフィリエイトがその頃あれば・・・w)。どう?Iさんも懐かしいでしょ(^-^)。
こういう復刊というのはとても珍しいです。ざっと読んでみたら、改訂箇所はちょこっとしかありませんでした(大笑)。前は翔泳社だったのですが、復刊の要望は相当高かったようです。やはり名著だったんですね。私にとっては、「こういう本を書きたい!」という筆頭ですね。がんばろー!

この本は、マーケティングを少しでもかじっている人は必読です。

ちなみに、この本でちゃんと理解して、私がパクりまくった(というか今もパクっている)コンテンツは以下の通り。ちょっと古くなったものもあるけど、とても使いやすいフレーム・スキームばかりです。

○ヤンケロビッチ「意識のピラミッド」
○ライフスタイルの落とし穴
○クープマンの目標値
○プロダクトコーン
○商品の記号と意味
○スキミング&ペネトレーション戦略
○ベネフィットの限界を超えたDCCM理論
○U&E→特にコンバージョンレートとリテンションレート

Posted by simfarm at 19:36 | Comments (1)

2006年08月21日

『考える脳 考えるコンピューター』(ジェフ・ホーキンス)

考える脳.jpg
遅ればせながら、
『考える脳 考えるコンピューター』(ジェフ・ホーキンス/ランダムハウス講談社)
を読みました。

最近脳の本の出版ラッシュで食傷気味でしたが、久々にいい本に出会いました。感覚としては、茂木健一郎氏の本を初めて読んだときのワクワク感に近いです。
私は「予測」と「構造(差の集積)」については大変興味を持っているのですが、この本を読んでハタと膝を打ちまくりました!膝が痛い(byナンシー関←誰もわからんw)

人間の「知能」は「予測」であり、「予測」を可能にするのは「構造(差の集積)」である

私は椅子から転げ落ちそうになりました(椅子に座ってはいませんでしたがw)。私ってやはりただ者ではないなと(爆)。
詳しくは本書を読んでください。「脳」に興味のある方、「創造性」に興味のある方は是非!特に、村山さん、もし読んでいないようでしたら超オススメです。村山さんの創造性理論の後押しになると思います。
下記に久々にとった読書メモを掲載しておきます。特に太字は面白かったとこです。

<読書メモ>

●新皮質はどの場所でも同じ。脳が使う手順は、見るときも聞くときも同じ。新皮質の何らかの普遍的な処理方法は、あらゆる種類の感覚系や運動系に適用できる。人間の振る舞いを異なった能力の集まりと解釈し、それを人工的に実現しようとしてきた過去の試みは間違いであった。これは神経科学のロゼッタストーンといえる。
●異なる感覚から生じるパターンは脳では同等に扱われる。すなわちどんな感覚も脳にとっては等価である。
●人間の認識は非常に柔軟で、小さな熊手を渡され、ものを触ったり引き寄せたりするために手のかわりに使っていると、すぐにそれが身体の一部になったように感じ始める。パソコンのキーボードも同様。
●森羅万象の知識は、すべてパターンにもとづくモデルだ。「この世界が本物だと、自信を持って断言できるのか?」
●基本的な演算処理速度は、脳はコンピューターの500万分の1しかない。脳はその都度「演算処理」はしていない、「記憶を参照する」のだ。
●新皮質の記憶
・新皮質はパターンのシーケンスを記憶する(「一つ」のことを「順番」にしか記憶できない)
・新皮質はパターンを自己連想的に呼び戻す(不足しているものを想像して補完する)
・新皮質はパターンを普遍の表現で記憶する(重要な関係だけを細部にかかずらうことなく記憶する;プラトン「完全な円」<「イデア」)
・新皮質はパターンを階層的に記憶する
●新皮質が記憶するのは絶対的なものではなく、相対的な「差」である(普遍の表現)
●「予測」=新皮質の「最も主要な機能」
・「理解」=「予測」
・「知能」=「予測」
・「科学」=「予測」
・「マーケティング」=「予測」
●「構造」があって、「予測」が可能になる。「構造」とはでたらめではないし、均質でもない、「差の集積」である。
●「創造性」とは、簡単にいえば、類推によって予測を立てる能力にすぎない。
●日常的でない類推を使って日常的でない予測を立てるとき、「創造性」が認識されやすい。
●無関係に見える言葉や概念を相関させ、抽象度の高い構造を生み出し、世界の姿に新しい光を投げかけるような類推が芸術レベルの「創造性」
●つまり、人の予測を裏切る(認識の差を大きくする)のが「創造性」といえる。
●ただし、「珍しさや意外性」と「なじみやすさ」のサジ加減が必要。それが「創造性」の難しいところであり、そのサジ加減こそが「センス」なのだ。
●「創造性」とは、それまでの人生で得られたあらゆる経験と知識を混ぜ合わせ、同じパターンを見つけること。
●「創造性」=人間の予測能力=才能=人生経験。あらゆる人間は創造性を備えている。だから訓練と勉強によって技量と才能を高めることができる。
①しつこく考え続けること
②脳に時間と余裕を与えること
③時には忘れること
④異なった視点から眺めること
⑤比喩、細分化、並べなおしをするくせをつける

●「固定観念(ステレオタイプ)」をつくることが新皮質の機能であり、脳の生来の性質である。「固定観念」=「普遍的な記憶」は情報処理を簡便にし、脳への負担を軽減するが、誤った固定観念は社会的にとんでもない結果を引き起こす。批判的を身につけなければならない。懐疑的な態度は科学的手法の真髄であり、虚構と事実を区別する唯一の方法だ。
●脳は「過去」からの類推で予測を立てるもの。だからどうしても「過去」の延長線上の予測に止まるという傾向がある。

Posted by simfarm at 06:51 | Comments (0)

2006年08月15日

ジェフリー・ムーア『ライフサイクル イノベーション』

ライフサイクルイノベーション.jpg

『キャズム』(翔泳社/2002)では大変お世話になった(いまだに結構よく使っています)ジェフリー・ムーア氏の最新作『ライフサイクル イノベーション』を読みました。この本の原題は『Dealing with Darwin』とあるように、随所に進化論を参照しています。これだけでもなんだか面白そうでしょ(^-^)。

この書のポイントは「14のイノベーション」の整理。これスライウォツキーの「23の収益モデル」(最近は30種類くらいに増えていますが)の整理っぽいですね(笑)。事例がアメリカの企業ばかりで辟易としますが、今後クリステンセンの著書とともにイノベーション系のスタンダード(バイブルまではいかないw)になると思います。マーケターは必読でしょう。

「14のイノベーション」

<製品リーダーシップ・ゾーン>
●破壊的イノベーション
今までになかったテクノロジーやビジネスモデルにより新しい市場カテゴリーを作り出すイノベーション
●アプリケーション(ソリューション)・イノベーション
既存のテクノロジーの今までになかった応用分野を発見することで新規市場を作り出すイノベーション
●製品イノベーション
既存の市場における既存の製品に対して、前例がない機能の追加をすることで差別化を図るイノベーション
●プラットフォーム・イノベーション
下位にある既存テクノロジーの複雑性を隠すための単純化階層を導入するイノベーション

<顧客インティマシー・ゾーン>※インティマシー intimacy:親密 、 密通、情交、愛撫
●製品ライン拡張イノベーション
既存の製品に構造的な変更を加え、独立したサブカテゴリーを作り出すためのイノベーション
●機能強化イノベーション
製品ライン拡張イノベーションの方向性をさらに進めていき、より細かい変更を基盤からより離れた部分で行うイノベーション
●マーケティング・イノベーション
購買プロセスでの潜在的顧客とのやりとりにおける差別化にフォーカスしたイノベーション
●顧客エクスペリエンス・イノベーション
顧客インティマシーを極限まで追求したイノベーション

<オペレーショナル・エクセレンス・ゾーン>
●バリュー・エンジニアリング・イノベーション
既に確立した製品の外部的な属性を変えることなく、原料や製造プロセスのコストを削減するイノベーション
●インテグレーション・イノベーション
多様な構成要素をひとつの集中管理型のシステムに統合することで、顧客の維持管理コストを削減するイノベーション
●プロセス・イノベーション
製品ではなく、それを作り出すプロセスから無駄を排除することで利益率を向上させるイノベーション
●バリュー・マイグレーション・イノベーション
バリュー・チェーン内のコモディティ化しつつある構成要素から離れて、より利益率が高い領域にビジネスモデルをシフトしていくイノベーション

<カテゴリー再生ゾーン>
●自立再生イノベーション
自社内の資源を使って、成長する新規市場カテゴリーに自社の方向性を変更するイノベーション
●企業買収再生イノベーション
ガテゴリー再生の問題を外部企業の合併や買収により解決するイノベーション

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2006年07月08日

Ambient Findability

「アンビエント・ファインダビリティ」
副題―ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅
(ピーター・モービル/オライリー・ジャパン)
AF.jpg
情報系の書籍を集中的に読破したのですが(http://www.searchlight.co.jp/simfarm/2006/07/post_33.html)、圧倒的に面白かったのがこの本。
最初に手に取ったときは、副題のせいもあり、ひたすら「web」の本だと思ったのですが、全然違いました。この本のカテゴリーとして最も近いのは「社会学」です。

ドッグイヤー(耳のほうね)多数
赤線・青線多数
この本に触発されて調べたこと多数
この本の紹介でamazonに発注した本多数

上半期の「Best buy」本です。超オススメです!

Posted by simfarm at 22:43 | Comments (0)