マーケティングコンセプト

村山理論における「コンセプト」の定義です。

「消費者のウォンツをするどくインサイトし、
そのウォンツを形態として表出化する。
その過程で消費者のパーセプション(知覚)を変化させ、
気づきを起こさせるものである。」

これ、すごく練りこまれた決定版的な定義ですが、皆さんには理解できますか?
単語一つ一つからして初めて聞くものがあるかもしれませんね。解説はしませんので、調べてみてください。この定義が腹の底から理解できたら、その時点でマーケターとして一人で食っていけるレベルといえます。それくらい奥の深い定義です。

プロフェッショナルは、「基礎」にこだわります。
複雑な理論や方法論以上に、基本的な定義などを大事にします。

以下に「マーティング」の定義を紹介します。様々な定義がありますね。それぞれがどんなところに軸足を置いているのか?そんな視点で読んでみてください。全ての定義が腹の底から理解できるようでしたら、あなたは既に「マーケティングマスター」といえます。世のプロのコンサルタントやマーケターでも、どれくらいの人がこれらの定義をしっかりと理解しているのやら???

■アメリカ・マーケティング協会

(1955年)
マーケティングとは、生産者から消費者、あるいはユーザーへ、財やサービスの流れを方向づけるビジネス活動の遂行である。

(1985年:変更)
マーケティングとは、個人および組織の目標を満足させる交換を創造するために、アイデア、財、サービスについて、コンセプトづくり、価格設定、プロモーション、流通を計画し、実行する過程である。

■日本マーケティング協会(1990年)

マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合活動である。

■世界マーケティング協会(1999年)

Marketing is the core business philosophy which directs the processes of identifying and fulfilling the needs of individuals and organizations through exchanges which create the greatest possible value for all parties to the exchange.
マーケティングとは、ビジネスにおいて中核となる考え方(=philosophy)である。それは、すべての人(=party)にとって最高の価値を創り出す「交換(=exchange)」を通して、個々人や組織のニーズを認識し、満足させるための過程(=process)を導きだすものである。

■P.コトラー

個人や集団が製品および価値の創造と交換を通じて、そのニーズや欲求を満たす社会的、管理的プロセスである

■P.F.ドラッカー

マーケティングの目標は販売を不要にすることである

■T.レビット

すべての企業はその成長、存続をはかるためには、顧客を獲得し、維持していかなければならないのであるが、その顧客の獲得・維持は単に販売活動、つまりセリングを行うことではない。それはマーケティングを行うことである。マーケティングとセリングは天文学と占星術、あるいはチェスと将棋のように似て非なるものである

■日下公人

経済学は伝統的に需要をひとまとめにし、全体として、“最大多数の最大幸福”を考えてきた。しかしマーケティングは市場を分割し、個々の特定市場へ個別に適合していくことを考えた点で革命的だ

■坂本啓一

マーケティングとは、伝えたい価値を正しく伝えることである。マーケティング活動とは、価値伝達のためのメッセージを、生活者・顧客と受発信することである。注意して欲しいのは「受発信」という点だ。一方的にメッセージを送るだけでは駄目で、きちんと対話しなければならない。21世紀のマーケティングは、対話そのものなのだ。
また、マーケティングは
・楽しい
・ものの見方・考え方である
・毎日使うものである(自分の肌感覚こそが大事)
・発見である


そして、「マーケティング」のコンセプトとは?

●顧客を満足させるためのお膳立て
売り込もうとするのではなく、売れていくようにすること(柔道)

●顧客を知ることから始まる
万物流転。日々顧客は変化している。調査は必須。ただし、安易な調査は百害あって一利なし。

●顧客の立場に立つ
前述の定義に共通しているのは、買い手(顧客)の立場にスタンスを置いていること。
簡単そうで実はできない。このセンスやリテラシーがまさにマーケターのキモとなる。
くらたまなぶ氏のいう「ヒットの極意はいかにターゲットとする顧客に憑依できるか?」

●+かゆいところに手が届く
これまでのマーケティングでは、前者の3つが主要コンセプトだった。かつては「ニーズ先導かシーズ先導か」という議論がなされたが、あまり意味がなくなった。今の消費者は「何が欲しいのかよく分からない」。「言葉にならない」不満や「かゆいところに届かない」もどかしさを読み取り、提案し掘り起こすことが必要になってきた。
「こんなん出来ちゃったけどどう?」と、どんどん作って、「どうですか?」と聞いてみるのも大事。
花王は「心のヒダまで探る」ことで有名になっているが、実は後者だったりする(ヒットの裏に屍の山)。

●競争志向
マーケティングのルーツは「勝つ」こと。厳密には「勝つ仕組みを作る」こと。
定義上、明記しているのは日本マーケティング協会のみ

といったところですな。

さて、上記のコンセプトは、

「消費者のウォンツをするどくインサイトし、
そのウォンツを形態として表出化する。
その過程で消費者のパーセプション(知覚)を変化させ、
気づきを起こさせるものである。」

に合致しているでしょうか?(^-^)

Posted by simfarm at 2006年06月25日 07:26

Comments

コンセプトをこのようにダイナミックに表現できるとはおもっていませんでした。脱帽です。
この表現は、言語が生まれる過程とそっくりですな。
ホントにまいりました。

Posted by アウラ | 2006年06月26日 12:57

アウラさん>
どうもです(^-^)。
一流は一流を知るということですね。
紹介した甲斐がありました!

Posted by しむら | 2006年06月26日 18:14

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