『考える脳 考えるコンピューター』(ジェフ・ホーキンス)

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遅ればせながら、
『考える脳 考えるコンピューター』(ジェフ・ホーキンス/ランダムハウス講談社)
を読みました。

最近脳の本の出版ラッシュで食傷気味でしたが、久々にいい本に出会いました。感覚としては、茂木健一郎氏の本を初めて読んだときのワクワク感に近いです。
私は「予測」と「構造(差の集積)」については大変興味を持っているのですが、この本を読んでハタと膝を打ちまくりました!膝が痛い(byナンシー関←誰もわからんw)

人間の「知能」は「予測」であり、「予測」を可能にするのは「構造(差の集積)」である

私は椅子から転げ落ちそうになりました(椅子に座ってはいませんでしたがw)。私ってやはりただ者ではないなと(爆)。
詳しくは本書を読んでください。「脳」に興味のある方、「創造性」に興味のある方は是非!特に、村山さん、もし読んでいないようでしたら超オススメです。村山さんの創造性理論の後押しになると思います。
下記に久々にとった読書メモを掲載しておきます。特に太字は面白かったとこです。

<読書メモ>

●新皮質はどの場所でも同じ。脳が使う手順は、見るときも聞くときも同じ。新皮質の何らかの普遍的な処理方法は、あらゆる種類の感覚系や運動系に適用できる。人間の振る舞いを異なった能力の集まりと解釈し、それを人工的に実現しようとしてきた過去の試みは間違いであった。これは神経科学のロゼッタストーンといえる。
●異なる感覚から生じるパターンは脳では同等に扱われる。すなわちどんな感覚も脳にとっては等価である。
●人間の認識は非常に柔軟で、小さな熊手を渡され、ものを触ったり引き寄せたりするために手のかわりに使っていると、すぐにそれが身体の一部になったように感じ始める。パソコンのキーボードも同様。
●森羅万象の知識は、すべてパターンにもとづくモデルだ。「この世界が本物だと、自信を持って断言できるのか?」
●基本的な演算処理速度は、脳はコンピューターの500万分の1しかない。脳はその都度「演算処理」はしていない、「記憶を参照する」のだ。
●新皮質の記憶
・新皮質はパターンのシーケンスを記憶する(「一つ」のことを「順番」にしか記憶できない)
・新皮質はパターンを自己連想的に呼び戻す(不足しているものを想像して補完する)
・新皮質はパターンを普遍の表現で記憶する(重要な関係だけを細部にかかずらうことなく記憶する;プラトン「完全な円」<「イデア」)
・新皮質はパターンを階層的に記憶する
●新皮質が記憶するのは絶対的なものではなく、相対的な「差」である(普遍の表現)
●「予測」=新皮質の「最も主要な機能」
・「理解」=「予測」
・「知能」=「予測」
・「科学」=「予測」
・「マーケティング」=「予測」
●「構造」があって、「予測」が可能になる。「構造」とはでたらめではないし、均質でもない、「差の集積」である。
●「創造性」とは、簡単にいえば、類推によって予測を立てる能力にすぎない。
●日常的でない類推を使って日常的でない予測を立てるとき、「創造性」が認識されやすい。
●無関係に見える言葉や概念を相関させ、抽象度の高い構造を生み出し、世界の姿に新しい光を投げかけるような類推が芸術レベルの「創造性」
●つまり、人の予測を裏切る(認識の差を大きくする)のが「創造性」といえる。
●ただし、「珍しさや意外性」と「なじみやすさ」のサジ加減が必要。それが「創造性」の難しいところであり、そのサジ加減こそが「センス」なのだ。
●「創造性」とは、それまでの人生で得られたあらゆる経験と知識を混ぜ合わせ、同じパターンを見つけること。
●「創造性」=人間の予測能力=才能=人生経験。あらゆる人間は創造性を備えている。だから訓練と勉強によって技量と才能を高めることができる。
①しつこく考え続けること
②脳に時間と余裕を与えること
③時には忘れること
④異なった視点から眺めること
⑤比喩、細分化、並べなおしをするくせをつける

●「固定観念(ステレオタイプ)」をつくることが新皮質の機能であり、脳の生来の性質である。「固定観念」=「普遍的な記憶」は情報処理を簡便にし、脳への負担を軽減するが、誤った固定観念は社会的にとんでもない結果を引き起こす。批判的を身につけなければならない。懐疑的な態度は科学的手法の真髄であり、虚構と事実を区別する唯一の方法だ。
●脳は「過去」からの類推で予測を立てるもの。だからどうしても「過去」の延長線上の予測に止まるという傾向がある。

Posted by simfarm at 2006年08月21日 06:51