今こそ「共通感覚」

『共通感覚論』(中村雄二郎著/岩波現代文庫)

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を再読しています。

この本は、一生ずっと手元に置いておくべき本の一つだと思います。

「共通感覚」は、「コモン・センス」「センスス・コムーニス」「常識」「第6感」「内部感覚」などいろいろな呼び名を持ちアリストテレス以来哲学の大きなテーマとなってきましたが、資本主義そのものが問われている今こそ最も重要なテーマになると私は確信しています。

この本の中に、ソシュールによって予見された「統合」と「連合」をベースとした二分法の大展開があります(205p~213p)。

私にとって思考の大きなフレームベースとなった二分法なので、ご紹介します。


<統合>      ⇔ <連合>
隣接        ⇔ 類似
換喩(metonymy) ⇔ 隠喩(metaphor)
満たされる欲求   ⇔ 満たされない欲求(夢・妄想・幻覚)
通時性       ⇔ 共時性
弁証法       ⇔ 構造論
科学        ⇔ 芸術
叙事詩       ⇔ 抒情詩
写実主義小説    ⇔ ロマン主義・象徴主義小説
キュビズム     ⇔ シュールレアリスム
【分析】       ⇔ 【解釈】
【要素還元】    ⇔ 【創発、複雑系】

※【 】は志村追記


重要なのは、二分法といっても、これらは対立関係ではなく補完関係であるということ。

そして、この二元を繋ぐメタ&神的なものこそが「共通感覚」なのです。

ですから、「分析じゃなくて、これからは解釈だ!」とか、「要素還元じゃくなくて、これからは創発だ、複雑系だ!」というのは、間違ってはいないのですがやや浅慮と言わざるを得ません。
どちらも大事であり、どうやってそれらを繋ぐのかが重要なのです。

詳しくは、脳に汗かきながら上著にトライしてみてください(^-^)。

Posted by simfarm at 2009年01月04日 01:34