「脳について解明されていること」レポート(第3回)

今回は短いです(^-^)。

第3回 脳幹や小脳に関して分かっていること

■脳幹・小脳・大脳基底核の役割
小脳は、外の世界が変化すると脳幹や脊髄の働き方を少し変える。大脳基底核では、視覚や嗅覚など様々な刺激を受けて、同時に起きている脳幹や脊髄の働きを整理して、状況に合わせてもっとも適切な行動を取るように調整している。
大脳基底核によって調節された後で実際に行われた行動が理にかなっているかを大脳辺縁系がチェックしている。つまり、動物が生存して子孫を残していくという、動物にとっての至上命題にかなっているかどうかを判断して、脳幹や脊髄の働きを変えていく。ちなみに、脳幹と脊髄と小脳、大脳基底核、大脳辺縁系を組み合わせると、は虫類までの行動はすべて説明できる。《『ニュートンここまで解明された脳と心のしくみ』(ニュートンプレス)p.116, 117》

■小脳による記憶(手続き記憶)
スキーや自転車のように体で覚える記憶(手続き記憶)は、小脳で記憶される。海馬の記憶が「書き込み方式」とすれば、小脳の記憶は「消去法」によって行われる。運動にミスが生じると、無駄な運動を導いていくような小脳のシナプスが回路から消される。そして、残ったシナプスだけが熟練した動きを実現する。《ニュートンp.138》
さらに小脳は運動だけではなく、思考の熟練も担うという新しい考え方がある。小脳は、学習機能によってほかの回路の働きをコピーできる能力を持っている。たとえば、大脳を扱う思考は意識にのぼるが、3×3の計算のように学習が進むと考えなくても答えが勝手に出てくるような無意識の世界で展開される能力。この能力を使えば、小脳は大脳の思考回路をコピーできる可能性がある。《ニュートンp.138》

■「予測」と「回避」で軽減されるストレスをコントロールする視床下部
ストレスには二種類有り、主観的な(自覚される)ストレスと体性的な(無意識に体が感じている)ストレスがある。ストレスに対する体の反応は「視床下部」「下垂体」「副腎」を軸に全身の連鎖応答で生じる。《『脳はなにかと言い訳する』(池谷裕二/祥伝社)p.66》
アルコールとストレスの関係について上山敬司氏は「zif268」というストレス遺伝子に着目。アルコールを飲んでストレスを受けても大脳皮質の「zif268」の活動は生じなかったが、「視床下部」の「zif268」は通常通り活性化した。視床下部は、「脳や体のストレスをコントロールする」重要な場所。したがい、アルコールを飲んでもストレスは発散されない。《脳はなにかとp.68》
またスポーツをしてもストレスは解消されないが、一種の逃げ道を作ることで、間接的にストレスを減らしている。《脳はなにかとp.70》
扁桃体で感覚情報がストレッサー(ストレス反応を引き起こす出来事)と判断された場合、その情報が視床下部に伝えられると、視床下部が自律神経系を活性化したり、ホルモンを出すように指令を出したりする。《ニュートンp.102》

■食欲を促進する視床下部
体に脂肪が多いときはタンパク質「レプチン」の刺激により「これ以上は食べないように」と脳に指令 を送るが、レプチンが欠損すると過食傾向になり肥満になる。肥満になると「レプチン耐性」が出来てしまい、肥満を解消するのは難しくなる。
マリファナに含まれている食欲を促進する「テトラヒドロカンナビノイド」に似ている脳内ホルモン「エンドカンナビノイド」は過食を誘発し、脂肪の蓄積を促進する。エンドカンナビノイド阻害薬が肥満解消薬として注目されている。《脳はなにかとp.302》

Posted by simfarm at 2006年10月02日 08:22