「脳について解明されていること」レポート(第5回)

このレポートも今回を含めてあと3回となりました。
mixiでは、rascalさんから
「SIM(私のハンドルネーム)さん。 このまとめレポート最高にいいです。」
とお褒めの言葉をいただいたので、気分良く続けます(^-^)。今回はとても短いですよ。

ちなみに、私は脳についてはいくつかの研究会に参加しています。

「脳を活かす研究会」
http://www.cns.atr.jp/nou-ikasu/

「ブレインコミュニケーション研究会」
http://www.ieice.org/cs/brain/

いずれも、これからイベントがありますので、本格的に研究したい方はご一緒しませんか?(「脳を活かす研究会」は京都で3日間のイベントがあります)


第5回 意識と無意識

■意識の定義
意識は「表現の選択」「ワーキングメモリ(短期記憶)」「可塑性(過去の記憶)」から出来ている。《進化しすぎp.170》

■表現の選択
ハブは温かいもの(赤外線)を感じるとそれだけでガブッとかみつく。蚊は温かいものや二酸化炭素に反応して勝手に寄っていって刺す。カエルは目の前を飛んでいる虫(目の前で動いているものなら何でも)食べようとする。これは無意識であり、反射に近い。「意識」とは自分が歩こうとしても良いし、立ち止まろうとしても良い。それは自分が行動の表現を選択することである。《進化しすぎp.163》

■ワーキングメモリ(短期記憶)
典型例は言葉。たとえば「ミカン」「トカゲ」では、真ん中の「カ」が共通の文字。「カ」の前後の言葉を覚えていなかったら意味が分からなくなる。だから意識には少なくとも短い時間、情報を脳に取っておく必要があり「短期記憶」が働いている。
「外界から入力する情報」「予定記憶」「過去の記憶」などから、「選択的注意」によって選ばれた情報だけを一時的に保持しつつ、それらを組み合わせて適切な行動を導く。《進化しすぎp.168》《ニュートンp.142》

■可塑性(過去の記憶)
過去の状態によって脳の状態が変わること。一度ひどい思いをしたから、そういうことはもうしないとか、そういう脳の何らかの状態が変わること。たとえば目の前に二つの道があるときに片方の道にはヘビがたくさんいて危ないぞというのをあるとき知ったとする。最初の選択はランダムだったかもしれないが、「こっちにはヘビがいる、向こうにはいない」というのが分かったときに、ヘビがいる方にはいかない。意識は選択できるための根拠をもち、その根拠は必ず「過去の記憶」に存在する。
脳は経験を価値判断の基準に仕立てる。《進化しすぎp.169》

■「いま」は過去
人間の脳にとっては100分の1秒より小さい時間は同時。人間の脳にとっての時間は、数十ミリ秒おきにコマ送り、つまり量子的になっている。それが無意識の作用、つまり脳の働きによってスムーズにつながって見える。目から入った情報は視覚野で解析される。そのとき脳は、形、色、動きを分析するが、これは同時にはやっていない。たとえばリンゴが転がっている場合、一番先に気づくのは色。その次に形。そして、動き。「色」に気づいてから「転がっている」と気づくまでの時間は早くても70ミリ秒ぐらいかかる。本当は「今目の前に転がっている物体があるんだけど、それはちょっと前にはリンゴであって、その直前には赤い色をしていました。でも今はどうかは分かりません!」というのが正解。したがって「いま」は過去である。《進化しすぎp.140》

■目があるから世界が出来た
人間の心や意識はすべて脳が解釈している。たとえば人間が識別できる色の数は700万色であり、光の三原色に対応した色細胞が網膜にある。赤・青・緑という電磁波の560ナノメートル、530ナノメートル、450ナノメートルという波長の三色しか見えないから世界がこういうふうにしか見えていない。たとえば、もっと長い波長のラジオ波が見えたら見えるものがゆがんでしまう。人間の目は、世の中に存在する電磁波の、ほんの限られた波長しか感知できないので、見えている世界が全てではない。したがって脳が(人間に固有な特有の)世界を創りあげている。《進化しすぎp.143》

Posted by simfarm at 2006年10月04日 04:56