3月13日 『過剰と破壊の経済学』

『過剰と破壊の経済学 「ムーアの法則」で何が変わるのか?』(小島信夫著/アスキー新書)

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を読みました。

梅田望夫の『ウェブ進化論』で有名になった「ムーアの法則」(半導体の集積度は18ヶ月で2倍になる)をもとにコンピュータと情報技術の世界の未来を展望した良書です。

特に面白かったのは次の2点。
いずれも、私にはものすごい実感値があります(特に2)は禿同です)。

1)現代のボトルネック

半導体の性能が予想を超えるスピードで上がり、性能が過剰になるということは、逆にいうと他の資源すべてが相対的に稀少になり、価格が相対的に上がる。その中でも最も稀少なものがボトルネックであり、それを握るものが業界全体を動かす。現在もそして未来も最も稀少なものは「人間の時間」である。
ハーバート・サイモン:
「情報の豊かさは、それが消費するものの稀少性を意味する。情報が消費するものは、かなり明白である。それは情報を受け取る人の関心を消費するのである。したがって情報の豊かさは関心の稀少性を作り出し、それを消費する膨大な時間に対して関心を効率的に配分する必要が生じる。」


2)失敗するプロジェクトの条件、成功するプロジェクトの条件

<失敗するプロジェクトの条件>
①最先端の技術を使い、これまで不可能だった新しい機能を実現する
②数百の企業の参加するコンソーシアムによって標準化が進められる
③政府が「研究会」や「推進協議会」をつくり、補助金を出す
④メディアが派手に取り上げ、「2010年には市場が**兆円になる」などと予測する

<成功するプロジェクトの条件>
①要素技術はありふれたもので、サービスもすでにあるがうまくいっていない
②独立系の企業がオーナーの思い込みで開発し、いきなり商用化する
③一企業の事業なので、政府は関心を持たない
④最初はほとんど話題にならないので市場を独占し、事実上の標準となる

なるほど、グーグル、iPod、スカイプなんてのは後者のプロジェクトの代表格であって、全然「スターデビュー」してないんですよね。


いかがですか?面白そうな本でしょ(^-^)。

Posted by simfarm at 2008年03月14日 10:25