石井淳蔵流通科学大学学長によると、現在日本企業が抱えている経営上・マーケティング上の最大の課題は、クレイトン・クリステンセンの指摘する「過剰品質」という概念で説明できるといいます。
「過剰品質」とは、クリステンセンによると、「製品性能に対する消費者の期待は、時間経過とともに上昇するが、それほど急角度で変化するわけではないが、技術は消費者の期待を上回る急角度で加速し発展を続ける」ことです。
この「過剰品質」の問題を石井氏は二つの課題に分けます。
一つ目が「創造的適応を図る」こと。
二つ目が「リセット型マーケティングを克服する」こと。
また、「創造的適応を図る」ことは、以下の二つの下位課題にラダーダウンします。
①コマーシャル・イノベーション(製品と消費者の関係を変えること)
②ドメイン(事業)の定義
そして、「リセット型マーケティングを克服する」は、以下の二つ。
①ロバストな製品デザイン
②マーケティング・リテラシー
私も「現在吹いている最も強い風」は“過剰”の一言で表すことができると思っていますので、大変共感できました。
詳しくは、
『経済マイスターによる知力講座』(日本経済新聞社広告局編)
をどうぞ。
本当は藤井良広 上智大教授の「地球温暖化時代の新しい市場とは?」に期待して読み始めたのですが、こちらは見事肩すかしを食らってしまいました(^-^;)。
石井淳蔵氏の著書・論文は久しぶりに読みましたが、やっぱり切れ味がいいな〜♪
<Contents>
伊藤元重 東大教授 「グローバル経済を読み解く」
伊藤邦雄 一橋大教授 「企業価値とは何か?」
石井淳蔵 流通科学大学学長 「マーケティングから見た企業の現代的課題」
刈屋武昭 明治大学教授 「『日本人』が幸福になる強固で賢い小国へのすすめ」
橘木俊詔 同志社大教授 「日本のお金持ち研究」
藤井良広 上智大教授 「地球温暖化時代の新しい市場とは?」
瀬戸篤 小樽商科大教授 「アントレプレナーシップが経済を変える・動かす」